ADB、2022年度経済成長率を7.2%に上方修正、2023年度は6.6%に下方修正

(バングラデシュ)

ダッカ発

2022年09月30日

アジア開発銀行(ADB)は「アジア開発経済見通し2022年外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を9月に更新し、バングラデシュの2022年度(2021年7月~2022年6月)の経済成長率について、2022年4月当初予想の6.9%から7.2%に上方修正するとともに(2022年4月18日記事参照)、2023年度(2022年7月~2023年6月)は7.1%の見込みを6.6%に下方修正した。下方修正の背景としては、ロシアによるウクライナ軍事侵攻に起因する世界経済への影響に伴い、バングラデシュにとっての輸出先経済の停滞や消費者マインドの冷え込みにより、輸出の伸びが落ち込む予想であることを挙げた。また、バングラデシュ国内の電力やエネルギー不足、それに伴う原材料や輸送コストの上昇も生産コスト上昇や生産の制約要因となっていることも原因と分析している。新型コロナウイルス禍の中で経済成長を牽引したインフラ開発をはじめとする公的投資も、政府の緊縮財政のために落ち込みが予想され、民間投資の成長スピードも落ち込みを予測している。

物価上昇率については、2022年は6.7%と予想しているが、国際的な物価上昇や、国内での燃料価格の引き上げや光熱費の上昇により、今後さらなる物価上昇を予想している。しかし、食料品や農業への補助金、輸入米への関税引き下げなどが奏功し、食料品の上昇は抑制されると見込んでいる。

南西アジア地域の2022年度の経済成長率については、バングラデシュの7.2%はモルディブ(8.2%)に次ぐ2番目の高水準で、インド(7.0%)を上回る。2023年度の6.6%の成長率はモルディブ(10.4%)、インド(7.2%)に次ぐ水準だ。

(安藤裕二)

(バングラデシュ)

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