国連発表の人間開発指数(HDI)でスリランカが南アジア諸国の首位に

(アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカ)

アジア大洋州課

2022年09月26日

国連開発計画(UNDP)は9月8日、「2021/2022年度版人間開発報告書 不確実な時代、不安定な生活:変容する世界で私たちの未来を形作る」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同報告書の中の、人々が健康で豊かに生活している度合いを表す「人間開発指数(Human Development Index:HDI)」は、出生時の平均余命、識字率・就学率、1人当たりの国民総所得(GNI)といった指標を用いて、各国の開発度合いや国の総合的豊かさを表すとされる(注1)。同ランキングにおいて、191カ国・地域中、南アジア(注2)各国の順位は以下のとおりだった(添付資料表1参照)。

  • ブータン(127位)、バングラデシュ(129位)、インド(132位)、ネパール(143位)の4カ国は「中程度の人間開発」カテゴリーに分類された。
  • インドは、前回から1つランクを下げ、BRICS諸国中では、ロシア(52位)、ブラジル(87位)、中国(79位)、南アフリカ共和国(109位)を下回る最下位だった。
  • スリランカ(73位)は、経済危機(2022年6月29日2022年9月20日記事参照)にあるもかかわらず、南アジア諸国の中で最高位だった。同国とモルディブ(90位)は、「高い人間開発」カテゴリーに入った。
  • 南アジア諸国の中で最下位となったのは、政情が不安定なアフガニスタンで180位だった。なお、同国は、パキスタン(161位)とともに、「低い人間開発」カテゴリーに分類された。

同ランキングの首位はスイスで、前年の3位から上昇した。2位にノルウェー、3位から5位はアイスランド、香港、オーストラリアが続いた。また、デンマークが6位、スウェーデンが7位と北欧諸国が上位に名を連ねた。

最下位の3カ国は南スーダン、チャド、ニジェール、のアフリカ諸国だった(添付資料表2参照)。貧困・医療サービスや教育の不足といった問題などがHDIの数値に影響したかたちとなった。なお、日本は前年と変わらず19位を保った。

同報告書は、新型コロナウイルス感染拡大やロシアによるウクライナ軍事侵攻のような危機により、かつてない「新たな不確実性の複合体」が出現し、社会的・経済的変化および広範で激化する二極化をもたらしたとする。また、こうした新たな危機は、人類の発展を妨げ、世界中の人々の生活を不安に陥れており、新型コロナウイルス感染拡大後の2020年と2021年において、HDI値は初めて2年連続で低下し、90%以上の国でHDI値の低下が続いているとした。そして、再生可能エネルギーからパンデミックへの備え、投資やイノベーションに焦点を当てた政策の実施によって、不確実な世界の浮き沈みに対処することを推奨している。

(注1)本指標は、国の豊かさや人々の幸福度は、所得水準や経済成長率といった数値だけで測ることが困難なことから、1990年より導入されている。指標は、0と1の間の数値で表され、1に近いほど開発レベルが高い。さらに、人間開発度の度合いは「高・中・低」の3段階に分けられている。

(注2)南アジアは、アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカ。

(寺島かほる)

(アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカ)

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