第2四半期GDP成長率、前年同期比マイナス8.4%、経済危機の影響が如実に

(スリランカ)

アジア大洋州課

2022年09月20日

スリランカのセンサス統計局は9月15日、2022年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は前年同期比マイナス8.4%と発表した。第1四半期(1~3月)のマイナス1.6%に続いて2四半期連続のマイナス成長で、成長率の落ち込みは拡大した。実質ベースのマイナス成長が2四半期続いたことで、スリランカ経済はテクニカル的には景気後退局面にあると見なされる。デフォルトに陥っているスリランカに、経済危機の影響が実体経済に鮮明に及んでいる格好だ。

統計局は、第2四半期のマイナス成長に新型コロナウイルスの影響は最小限だったと分析し、電力・燃料不足によるサプライチェーンの混乱、肥料や化学品の供給不足、高いインフレ率などが産業全体に大きな影響を及ぼしたとした。産業別にみると、農林水産業の成長率は前年同期比マイナス8.4%、工業部門もマイナス10.0%だった。第1四半期に0.7%のプラス成長だったサービス業も第2四半期はマイナス2.2%に沈んだ。他方で、スリランカの主要サービス業の宿泊・観光業は35.3%と、前期から成長を加速させている。

今後の景気の先行きについて、中央銀行が9月15日に発表した8月の購買担当者景気指数(PMI:注)をみると、製造業は49.6、サービス業は51.7で、とともに前月から上昇したことで、経済も最悪期を脱しつつあるように見える。懸案の債務問題では、政府は9月23日に債権者向けに債務再編策、IMFによる支援プログラムについて明らかにする予定と報じられている(ロイター、9月18日付)。

(注)PMIはPurchasing Managers' Index(購買担当者景気指数)の略。購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫レベル、雇用状況、価格などの指数に一定のウエートを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(新田浩之)

(スリランカ)

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