2023年の最低賃金は月額200ドルに決定

(カンボジア)

プノンペン発

2022年09月30日

カンボジア労働職業訓練省は9月21日、2023年の最低賃金を月額200ドルに設定する省令(Prakas No.247/22KP/PRK)を発表した。現行の194ドルより6ドル増加し(3.1%増)、2022年の賃金上昇率(1.0%増)を上回った(2021年10月4日記事参照)。試用期間中の労働者は月額198ドルとなる。

適用業種は従来どおり、縫製業と製靴業だが、他分野の製造業もこれにならっての適用が通例となっている。出来高制の給与体系の企業では、支払金額が最低賃金を下回らないことが求められる。新たな最低賃金は2023年1月1日から適用される。

2023年の総選挙も見込み、上げ幅を調整か

最低賃金の上昇率は、2018年11.1%、2019年7.1%、2020年4.4%、2021年1.1%、2022年1.0%と、新型コロナウイルス流行下で抑制傾向にあったが、2023年は3.1%に増加した。2023年7月に国民議会(下院)選挙(総選挙)が予定されており、最低賃金の上げ幅に注目が集まっていた。

最低賃金は労働組合、雇用者団体(カンボジア縫製業協会、カンボジア製靴業協会、カンボジア日本人商工会など)、カンボジア政府の3者からそれぞれ17人の代表者を選出して構成する最低賃金諮問委員会で議論する。今回は8月15日から9月21日の間に5回が実施された。最低賃金の金額については、198ドルから213ドルの範囲で4案が提示され、51人中46人が198ドルに投票した。最終的にそこにフン・セン首相が2ドルを上乗せすることで200ドルに決定された。

なお、周辺国では、タイが2022年10月に2年9カ月ぶりの最低賃金引き上げを実施し、平均5%増の日額328~354バーツ(約1,246円~約1,345円、1バーツ=約3.8円)となる予定だ(2022年9月21日記事参照)。ベトナムは同年7月に2年半ぶりの引き上げを実施し、平均6%増の月額325万~468万ドン(約1万9,825円~約2万8,548円、1ドン=約0.0061円)となった(2022年6月17日記事参照)

(山口乗子)

(カンボジア)

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