2022年の最低賃金は月額194ドルに決定

(カンボジア)

プノンペン発

2021年10月04日

カンボジア労働職業訓練省は9月28日、2022年の最低賃金を月額194ドルに設定する省令を発表した(Prakas No.264/21KB/Br.K.Kh.L)。2021年と比べると2ドル増(1.0%増)となり、前年の賃金上昇率(1.1%増)と同様の水準だった。なお、試用期間中は月額192ドルとなる。

適用業種は従来どおり縫製業と製靴業だが、他分野の製造業もこれにならった適用が通例となっている。また、今回の省令は、出来高制の給与体系の企業はこの通達の限りではないが、支払金額が最低賃金を下回らないことと明記した。新たな最低賃金は2022年1月1日から適用する。

上昇率は抑制の動き

ここ数年の最低賃金の上昇率は、2018年11.1%、2019年7.1%、2020年4.4%、2021年1.1%と低下傾向にある。2013年から2017年にかけて月額80ドルから月額153ドルへ高騰したことで、外国投資促進への影響を懸念した政府は最低賃金上昇の抑制を進めていた。

最低賃金は、労働組合と雇用者団体(カンボジア縫製業協会、カンボジア製靴業協会、カンボジア日本人商工会など)、カンボジア政府から、それぞれ17人の代表者を選出して構成する最低賃金諮問委員会が9月7日から議論していた。最低賃金の金額について、労働者側は月額204ドル、雇用者団体は月額188ドル、政府は月額192ドルを主張。

こうした中、新型コロナウイルスによる経済停滞の影響や、感染拡大防止対策にかかる雇用者側の負担増もあるため、近年では最低の上昇率にとどまったとみられる。

(井上良太)

(カンボジア)

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