第2四半期のGDP成長率、前期比1.5%に加速

(スペイン)

マドリード発

2022年09月30日

スペイン国家統計局(INE)の9月23日付発表によると、2022年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は前期比1.5%だった(添付資料表参照)。第1四半期(1~3月)は、新型コロナウイルスのオミクロン株感染第6波や、ロシアによるウクライナ侵攻に伴うインフレ加速、トラック運転手のストライキによる物流混乱が影響し、マイナス0.2%だったが、堅調に回復した。

3月末に新型コロナウイルスとの「共生」に移行し、国内の新型コロナ関連の規制がほぼ完全になくなったことで(2022年4月4日記事2022年4月21日記事参照)、第2四半期はレジャー気運が高まった。また、6月初旬にはEUとEFTA加盟国(アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)からの旅行者の証明書提示義務が撤廃されたことにより、第2四半期のインバウンド観光客数は2,000万人を超え、新型コロナ禍前の2019年同期比14.1%減の水準まで急回復した。これを反映し、特に商業・輸送・ホテル・外食や娯楽・芸術サービスなどの観光関連部門が持ち直した。

需要項目別にみると、民間最終消費支出は前期比1.2%と、前期のマイナス1.2%から大きく加速し、耐久消費財をはじめ全体的に好調だった。総固定資本形成は、建設投資と輸送機器関連の設備投資が牽引し、前期の3.3%に続き2.5%と堅調。財・サービスの輸出は4.9%と前期に続き好調だった。特にインバウンド観光収入の伸びが著しく、2019年第4四半期(10~12月)を大幅に上回る水準となった。

なお、GDPは2019年第4四半期を依然として2.2%下回っている。ナディア・カルビーニョ第1副首相兼経済・デジタル変革相は9月22日、EU復興基金に基づくスペインの経済復興計画(2020年10月14日記事参照)は、2031年まで毎年平均2.6ポイントのGDP成長率への押し上げ効果をもたらすと発言。政府は、インフレやロシアによるウクライナ侵攻で欧州経済の見通しが悪化する中でのEU復興基金の景気浮揚効果を強く期待している。

2021年のGDPを0.4ポイント上方修正

INEは15日に、2019~2021年の実質GDP成長率の改定値を発表し、2019年を2.0%(改定前より0.1ポイント減)、2020年をマイナス11.3%(同0.5ポイント減)、2021年を5.5%(同0.4ポイント増)とした(添付資料表参照)。新型コロナ禍の2020年の景気落ち込みは当初の推定を上回る深刻さだったことが明らかとなった。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

ビジネス短信 d0394615765ed973