新型コロナ陽性者の隔離義務を撤廃、「共生」に移行

(スペイン)

マドリード発

2022年04月04日

スペインでは、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大が落ち着いていることを受け、3月28日から新型コロナとの「共生」に向けた新たな「新型コロナウイルス感染監視・防御戦略PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を実施している。

新規感染者数のカウント撤廃、今後の感染指標は病床占有率

保健省は同日をもって、新規感染者数の発表を停止した。今後、感染疑い例の検査や陽性者の地域医療機関への届け出は、重症者や疾病に弱い層(60歳以降、免疫不全者、妊婦)、医療・社会福祉従事者のみへの義務付けとなった。それ以外の軽症、無症状の疑い例は検査や届け出が不要なほか、陽性と分かった場合も含め、自主隔離は基本的に不要となった。10日間にわたりマスク着用や脆弱(ぜいじゃく)者との接触回避といった感染防止措置の徹底や、可能な範囲内でのテレワーク等を推奨している。

今回の「共生」は、医療機関の新型コロナウイルス感染者の病床占有率が安定している限り(通常病室で5%未満、集中治療室で10%未満)適用される。29日に公表した最後の感染統計によると、新規感染者数は人口10万人当たり466.51人で高止まりしているが、大多数は無症状者と軽症者とされる。ワクチン接種率の高さ(人口の約82%が完了)も奏功し、病床占有率は通常病室で3.52%、集中治療室で5.4%と大幅に改善している。

なお、英国では同様の共生計画が1カ月前から適用(2022年2月22日記事参照)されているが、スペインでは屋内でのマスク着用を引き続き義務付けており、政府は解除に慎重な姿勢だ。

テレワーク:大企業ではハイブリッド勤務が定着する傾向

2020年3月以降に感染の波が相次ぐ中で、オフィスワーカーを中心に、在宅勤務と通勤を組み合わせたハイブリッド勤務が常態化してきた。新型コロナとの共生下でこうした働き方がどう変わるかという点も注目される中、金融大手BBVAグループは29日、スペイン国内の従業員1万2,000人に対し、今後も勤務時間の40%を上限として自宅やセカンドハウスなど国内最大2カ所からのリモートワークを認めることを発表した。通信大手テレフォニカも本社で恒久的なハイブリッド勤務態勢の構築を進めている。大企業や行政機関では従業員のワークライフバランスやエンゲージメント向上の観点から、職種上可能な限り、これまでどおりハイブリッド勤務を継続する傾向が強い。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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