屋内でのマスク着用義務を原則解除、公共交通機関や病院以外で

(スペイン)

マドリード発

2022年04月21日

スペイン政府は4月20日から、屋内でのマスク着用義務を原則解除した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。ただし、公共交通機関(タクシーを含む)や医療機関、高齢者施設、薬局では、引き続き着用が義務付けられる。駅構内やホームなど、1.5メートルの安全距離が確保できる場合は着用不要としている。

屋内でのマスク着用義務(6歳以上が対象)は、2020年5月から2年近くにわたり続けられてきた。しかし現在は、12歳以上のワクチン接種率(1回以上接種)は92%、60歳以上のブースター接種率も92%と普及が進んでいる。新型コロナウイルスのオミクロン株による2021年末からの感染第6波では重症者が少なく、医療逼迫は起きなかった。現在の病床使用率は、通常病棟で3.4%、緊急治療室で4%まで低下している。こうした感染状況の改善の中で、2022年3月末には陽性者の隔離義務が撤廃され、今回のマスク着用義務緩和に至った。

しかし、4月17日時点の60歳以上の高齢者層(注)の過去14日間の新規感染率は10万人当たり505.86人と依然高い。したがって、イベント会場や学校を含む、密閉・密集・密接する公共空間はもちろん、家族の集まりなどにおいても、60歳以上の高齢者層や妊婦、免疫不全者といった感染リスク層への配慮から「責任あるマスク着用」が推奨されている。

職場での着用の要否については、労災防止の観点から各企業の決定に委ねられる。各紙報道によると、小売業では、全般に接客において安全距離が確保できない場合に従業員にマスク着用を義務付ける企業が多い。金融業は会議人数や呼吸器疾患の有無などに応じた規則を運用。業種・企業によって異なるものの、「責任あるマスク着用」や安全距離などを考慮した常識ある対応となりそうだ。

引き続きマスクを着用したい人が大多数

当地メディアが今週実施したアンケート調査によると、回答者の54%がマスク着用義務の解除は時期尚早と回答しており、商業・娯楽施設や職場、飲食店においても、感染防止のために自主的にマスク着用を続けると答えた人が6~7割に達した(「エル・パイス」紙4月20日)。4月20日のマドリード市内では、駅構内やオフィスビル、銀行などで引き続き多くの人がマスクをしている様子が見られた。

(注)保健省が発表する感染統計は、4月から60歳以上人口のみを対象としている。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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