ADB、アジア新興国・地域の2022年経済成長予測を4.3%に下方修正

(ASEAN、中国、フィリピン、インドネシア、ミャンマー、インド、スリランカ)

アジア大洋州課

2022年09月30日

アジア開発銀行(ADB)は9月21日、「2022年アジア経済見通し改定版PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表し、アジアの新興国・地域(注)の2022年の実質GDP成長率を前年比4.3%、2023年は4.9%とする予測を発表した(添付資料表1参照)。ロシアのウクライナ軍事侵攻の長期化や、先進国の積極的な金融引き締め、中国の「ゼロコロナ政策」の影響などによって減速する世界経済を反映し、2022年4月の予測(2022年4月12日記事参照)からそれぞれ0.9ポイント、0.4ポイント引き下げた。2022年の成長予測は、2021年9月時点の5.4%(2021年9月29日記事参照)から、2022年4月に5.2%、今回が4.3%と下方修正が続いており、下振れリスクが現実化しているとみられる。特に中国は4月の見通しから1.7ポイントと大幅に引き下げ、3.3%とした。

東南アジアは2022年の成長予測引き上げ

地域別にみると、東南アジアでは、新型コロナ禍で導入された規制の緩和による民間消費や投資の活発化、外国との往来再開による観光業の伸長により、2022年の成長予測を4月時点の4.9%から5.1%に引き上げた。フィリピン、インドネシア、ミャンマーの予測引き上げが寄与した。フィリピンは好調な個人消費や投資を受けて、6.0%から6.5%に、インドネシアは堅調な内需に加え、資源輸出が追い風となって5.0%から5.4%に引き上げた。ミャンマーは繊維製品の輸出が回復しており、マイナス0.3%から2.0%に引き上げた。ただし、2023年は世界経済の減速や、サプライチェーンの混乱、中国の「ゼロコロナ政策」の継続、インフレの加速により、東南アジアの予測を5.2%から5.0%に引き下げた。

南アジアでは、インドの予想を上回るインフレや金融引き締め、スリランカの経済危機の影響を背景に、2022年、2023年ともに6.5%%と、いずれも4月の予測から引き下げた。

アジア新興国・地域のインフレ見通し、4.5%に上方修正

ADBはアジアの新興国・地域の2022年インフレ率の見通しについて、2022年4月に発表した前年比3.7%から4.5%に引き上げた(添付資料表2参照)。地域別では、南アジアが6.5%から8.1%に、東南アジアが3.7%から5.2%にそれぞれ引き上げた。

アルバート・パークADBチーフエコノミストは、アジア新興国・地域の経済は回復傾向にはあるものの、世界経済減速に伴う輸出需要の減退や、先進国のさらなる金融引き締めによる金融不安、中国の「ゼロコロナ政策」と不動産部門の脆弱(ぜいじゃく)性の影響などのリスクがあると指摘。「アジア新興国・地域の政府はこれらリスクを警戒し、成長を阻害することなくインフレ抑制の措置を講じる必要がある」とコメントした。

(注)アジア大洋州地域のうち、以下の46カ国・地域。

  • 東アジア:香港、モンゴル、中国、韓国、台湾
  • 東南アジア:ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、東ティモール、ベトナム
  • 南アジア:アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカ
  • 中央アジア:アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン
  • 大洋州:クック諸島、ミクロネシア、フィジー、キリバス、マーシャル諸島、ナウル、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツ

(菊池芙美子)

(ASEAN、中国、フィリピン、インドネシア、ミャンマー、インド、スリランカ)

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