ADB、アジア新興地域の2021年成長率を7.1%に下方修正、ワクチン接種の進捗差の負の影響を指摘

(ASEAN、中国、インド、ミャンマー)

アジア大洋州課

2021年09月29日

アジア開発銀行(ADB)は9月22日、「2021年アジア経済見通し改定版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、アジアの新興国地域(注)の2021年の経済成長率を7.1%と予測した。前回2021年7月発表時(2021年7月29日記事参照)より0.1ポイント引き下げた。また、2022年の成長率については、5.4%と予測し、7月の発表から据え置いた(添付資料表参照)。

成長予測の前回発表からの変更は、各地域で差があり、東アジア(2021年見通し:7.6%)は引き上げた一方、東南アジア(3.1%)などは引き下げとなった。

ADBは、改定版の報告で、新型コロナウイルスの新たな変異株の出現や局地的な感染再拡大、さまざまなレベルでの移動規制やロックダウン措置の再適用、また、ワクチン接種の進捗状況の差がアジア新興地域の見通しに暗い影を落としていると指摘した。特に、中国(2021年見通し:8.1%)、香港(6.2%)、台湾(6.2%)、シンガポール(6.5%)などは、ワクチンを迅速に導入し、新型コロナの流行を抑えることに成功したため、経済・行動規制の強化を回避することができ、2021年上半期の成長率は、2020年下半期よりも高くなったと指摘。一方、インドネシア(3.5%)、フィリピン(4.5%)、タイ(0.8%)では、新規感染者の拡大やワクチン接種の遅れにより、回復が遅れたと指摘した。

東南アジアはデルタ株の影響で見通しを引き下げ

東南アジア全体の2021年の成長率予測は、3.1%と前回発表(7月)から0.9ポイント引き下げた。また、2022年については5.0と前回発表より0.2ポイント引き下げた。ADBは、引き下げの要因について、同地域において4月下旬にデルタ株の影響により、新型コロナウイルスの感染者が急増したことにより、各国政府が移動制限を課した影響を指摘。ウイルスの封じ込めのために実施されたロックダウンにより、東南アジア全体でのモノ、サービス、人の移動が妨げられたと指摘した。

ミャンマーは減速予測をさらに引き下げ

2021年2月の国軍の権力掌握以降、政治経済の混乱が続くミャンマーは、2021年度(2020年10月~2021年9月)の成長率をマイナス18.4%と、4月の発表(マイナス9.8%)よりもさらに引き下げた。同国の2022年の見通しについては、前回と同様に発表がなかった。

(注)アジア大洋州地域のうち、以下の46カ国・地域。

  • 東アジア:香港、モンゴル、中国、韓国、台湾
  • 東南アジア:ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、東ティモール、ベトナム
  • 南アジア:アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカ
  • 中央アジア:アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン
  • 大洋州:クック諸島、ミクロネシア、フィジー、キリバス、マーシャル諸島、ナウル、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツ

(三木貴博)

(ASEAN、中国、インド、ミャンマー)

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