米カリフォルニア州、人工妊娠中絶希望者を支援する公式サイト立ち上げを発表
(米国)
サンフランシスコ発
2022年09月22日
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は9月13日、人工妊娠中絶や法的権利、医療提供者の検索場所などについて情報を提供する「abortion.ca.gov」を立ち上げたと発表した。
同サイトは、特に人工妊娠中絶のためにカリフォルニア州を訪れる人々を対象にしている。ニューサム知事は公式発表の中で「共和党の州は基本的な市民権を後退させ続け、人々がオンラインで情報にアクセスしたり、治療のために州境を越えたりすることを妨げようとさえしているが、ここカリフォルニア州では歓迎される」と述べた。同サイトには、18歳未満でも年齢に関係なく、本人の意思で中絶医療について主体的に同意する権利があると明記しており、人工妊娠中絶の種類の説明から、処置費用や旅費などの支払いが難しい場合の支援団体の紹介も行っている。また、同サイトはサイト訪問者の個人情報も収集しないと明言している。
米国では現在、人工妊娠中絶の権利保護が政治課題になっており、中間選挙の重要な争点になるとみられている。最高裁判所が6月に人工妊娠中絶を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を破棄したことを発端として(2022年6月27日記事参照)、ジョージア州(2022年7月22日記事参照)やインディアナ州(2022年8月12日記事参照)など複数の州で、人工妊娠中絶を禁じる州法が施行された。カリフォルニア州では、ニューサム知事が2022年5月にリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)に関する追加予算を提案し(2022年5月16日記事参照)、2022~2023年予算としてリプロダクティブ・ヘルスに2億ドルの予算支出が承認された。
カリフォルニア州議会は8月30日にリプロダクティブ・ヘルスに関する法案(AB2223)を可決し、ニューサム知事の署名を待っている。同法案は、検視官が自己堕胎や非合法的な堕胎が関わる、または疑われる胎児の死亡を捜査するという要件をなくすことなどを定めている。
(田中三保子)
(米国)
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