米カリフォルニア州知事が中絶権利拡充などへの追加予算を提案、中絶反対州からの企業移転も歓迎

(米国)

サンフランシスコ発

2022年05月16日

米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は5月11日、人工妊娠中絶の権利拡充を主な目的とする、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)に関する追加予算を提案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米国では、一部の州では人工中絶を規制する動きが広がっているほか、5月3日に、最高裁判所が人工中絶を規制する州法を違憲とした1973年のロー対ウェイド判決を破棄する意向であると報じられるなど、連邦議会でも大きな政治課題となっている(2022年5月13日記事参照)。人工中絶を女性の重要な権利として尊重するカリフォルニア州は、こうした権利に反対する州からの人々の流入を歓迎するとしている。

ニューサム知事は、公式発表の中で「過激派が憲法で保障された権利を奪おうとする様子を黙って見ているわけにはいかない。われわれは死に物狂いで戦う。カリフォルニア州以外も含め全ての女性に対して、わが州が基本的人権を認識し保護し続けていると知ってもらえるようにする」と述べた。ニューサム知事の提案は、1月に発表した6,800万ドルのリプロダクティブ・ヘルス関連予算案に、追加で5,700万ドルを投じるもので、中絶手術費用が医療保険でカバーされない低・中所得者への医療行為を対象とした、医療機関に対する4,000万ドルの助成金の拠出などを含んでいる。

また、同提案では、中絶禁止法や反LGBTQ法を成立させている州から、カリフォルニア州に拠点を移転し雇用を創出する企業を歓迎するとして、当該企業にインセンティブを提供することについても言及されている。これに関して、ニューサム知事が5月13日の修正予算案に関する記者会見で詳細を明らかにすることが期待されていたが、既存のインセンティブ・プログラムを更新中、などと述べるにとどまった。

(田中三保子)

(米国)

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