米連邦通信委、安全保障の脅威となる機器・サービスにチャイナユニコムなど3社追加
(米国、中国)
ニューヨーク発
2022年09月21日
米国連邦通信委員会(FCC)は9月20日、国家安全保障と米国人の安全に容認できない脅威をもたらし得る「対象機器・サービス」のリストを更新したと発表した。中国の通信企業パシフィック・ネットワークスおよびその子会社コムネットと中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)アメリカスの3社の機器・サービスをリストに追加した。これにより、同リスト掲載企業は計11社となった(注)。
「対象機器・サービス」のリストは、「2019年安全で信頼できる通信ネットワーク法(HR.4998)」に基づきFCCが公表している。同法はFCCに対し、国家安全保障に関わる省庁による関連の決定などに基づいて、機器・サービスをリストに掲載するよう指示している。FCCは、2021年3月に中国の華為技術(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)、ハイテラ、ハイクビジョン、ダーファの5社を掲載し、2022年3月にはロシアのカスペルスキー、中国電信(チャイナテレコム)アメリカス、中国移動(チャイナモバイル)インターナショナルUSAの3社を追加した(2022年3月29日記事参照)。「対象機器・サービス」については、FCCの補助金を使ってそれら機器・サービスを購入、リース、維持することなどが禁じられる。さらに、FCCは現在、「対象機器・サービス」に指定された機器に対して、認証にかかる一切の審査または承認を行わないことを明確にするための規則の策定を進めており、同規則は2022年11月までに導入されることになっている(2021年11月15日記事参照)。
FCCは今回、パシフィック・ネットワークス、コムネット、チャイナユニコムを追加した理由として、商務省国家電気通信情報庁(NTIA)による勧告を挙げている。NTIAはFCCに2020年11月に送付した書簡で、これら3社が中国政府の搾取・影響・管理を受けており、米国の安全保障にリスクをもたらすと説明し、具体的には、3社の機器・サービスが中国政府によるスパイ活動などに利用されるリスクなどを指摘していた。
FCCは2022年に入り、同様の理由でこれら3社に対し、米国での通信関連事業の免許を取り消す行政命令を発表している(2022年1月31日記事、3月18日記事参照)。
(注)掲載企業の子会社や関連会社もリストに含まれるとみなされる。
(甲斐野裕之)
(米国、中国)
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