米連邦通信委員会、中国聯合網絡通信アメリカスの事業免許を取り消し

(米国、中国)

米州課

2022年01月31日

米国連邦通信委員会(FCC)は1月27日、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)アメリカスに対する米国での通信関連事業の免許を取り消す行政命令を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

FCCは2021年3月、国家安全保障や法執行への懸念から、同社の事業免許を取り消すべきかを決める手続きを開始していた。FCCは命令で、チャイナユニコム・アメリカスが中国政府の影響・管理下にあり、十分な司法手続きを経ずに、中国政府の要求に従うよう強制される可能性が高い、と説明。中国政府による同社の所有と支配は、中国側に米通信へのアクセスや侵入の機会を与え、スパイ活動やその他の有害な行為を許すリスクがある、と判断した。同社は命令の発表から60日以内に、米国内で提供する州際および国際通信サービスを終了する必要がある。

FCCのジェシカ・ローゼンワーセル委員長は声明で、チャイナユニコム・アメリカスは約20年前に米国での事業免許を付与されたが、それ以来、国家安全保障をめぐる環境は変化し、中国の国有通信事業者が米国の通信ネットワークに脅威を与えているという証拠とそれに伴う懸念が増大している、との認識を示した。FCCが、中国の通信事業者による米通信インフラへの脅威に継続的に対応していることを強調し、パシフィック・ネットワークスやコムネットに対する調査も進めていることに言及した。FCCは2021年10月には、今回の命令と同様の理由で、中国電信アメリカスに対する事業免許の取り消しを命じている(2021年10月28日記事参照)。

他方、FCCのジェフリー・スタークス委員は声明で、チャイナユニコム・アメリカスが免許取り消し後も、米消費者向けデータセンター事業を継続可能な点に懸念を表明した。データセンターを通じた情報漏えいなどがもたらす安全保障上の脅威にも対応できるよう、FCCがより広い権限を持つべきか、政権や議会と協力して検証すべき、と指摘した。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

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