ハリス米副大統領、横須賀基地で演説、台湾への自衛支援継続と非公式関係深化を強調

(米国、日本、中国、台湾)

米州課

2022年09月29日

米国のカマラ・ハリス副大統領は9月28日、米国海軍の横須賀基地を訪れ、ミサイル駆逐艦「ハワード」の船上で演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ハリス副大統領は冒頭、集まった軍人に対して「ジョー・バイデン大統領と私は全国民とともに、あなた方の奉仕と卓越性に深く感謝している。米軍は間違いなく、世界がこれまで見たことないほど強力で最高の戦闘力を誇っている。それは皆さんのおかげだ」と謝意を述べた。

副大統領は、海軍が果たす役割に言及して「あなた方の存在は、航行の自由をはじめとする国際法や、米国の安全保障、経済を守る上で不可欠だ。皆さんの活動がインド太平洋地域の自由な商業活動を可能にし、米国人労働者や米国企業を支えている。皆さんの仕事は日本との同盟関係を強化するものだ」と述べた。

演説の中では、ルールに基づく国際秩序の維持の重要性も強調した。ロシアによるウクライナ侵攻や、北朝鮮の弾道ミサイルの発射、中国による近隣諸国への威圧や台湾海峡での挑発行為を例に挙げ、「米国は国際法が許す限り、いつでもどこでも、臆することなく飛行・航行し、作戦を継続する」と述べた。ハリス副大統領は中国を念頭に「いかなる一方的な現状変更にも反対し続ける。われわれの長年の方針に基づき、台湾の自衛を引き続き支援する」とも明言した。また「台湾はテクノロジーやヘルス関連だけでなく、それ以外の分野でも世界の利益に貢献する活気に満ちた民主主義国家だ。米国は今後も、非公式な関係を深めるだろう」として、米台関係を強化していく意向を表明した。

米台関係については、バイデン大統領が9月18日に放映された米テレビ局のインタビューで、「われわれは『一つの中国』政策と、台湾が独立を自分たちで判断することに関して合意している。しかし、前例のない攻撃が行われた場合、米軍は台湾を防衛する」と述べている(2022年9月21日記事参照)。大統領の台湾防衛発言はこれが就任後4回目だった。ハリス副大統領による今回の演説は、軍事と経済の双方で、米国が台湾への関与を強めることをあらためて示すものとなった。副大統領の訪日に関するそのほかの動向については、2022年9月26日記事2022年9月29日記事参照

(片岡一生)

(米国、日本、中国、台湾)

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