米中首脳会談とCHIPSプラス法案可決に注目、ジェトロ月例レポート

(米国、中国)

米州課

2022年08月19日

ジェトロは817日、米国の対中国関連政策についてまとめた7月分の月例レポートを公表した。このレポートは、日本企業が米中関係に関する米国の動向を把握できるよう、20217月から毎月分を作成して特集ページに連載している。

20227月に起きた動きの中で特に注目すべきものとしては、米中首脳会談と「CHIPSおよび科学(CHIPSプラス)法案(H.R.4346外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の上下両院での可決が挙げられる。728日に行われたジョー・バイデン大統領と習近平国家主席による米中首脳会談は、3月に行われたバーチャル首脳会談以来5回目の直接対話だった(2022年7月29記事参照)。米国連邦下院のナンシー・ペロシ議長(民主党、カリフォルニア州)の8月の訪台計画(2022年8月1日記事参照)が判明したことにより米中間の緊張が高まる中、台湾海峡などでの有事をきっかけに両国間の対立が不測の事態に発展しないための危機管理の方法が主要なテーマになったと推測されている。一方で、バイデン政権が米中間で協力すべき分野として挙げる気候・環境対策や公衆衛生に関しては、具体的な進展はみられなかったもようだ。

中国との技術競争を念頭に米国の競争力強化を目指すCHIPSプラス法案については、727日に上院で、728日に下院で可決され、89日のバイデン大統領の署名により正式に成立した(2022年8月10日記事参照)。同法案の早期成立を求めてロビー活動を進めていた業界団体や商工会議所などは、可決を受けて一様に歓迎の声明を発表している。一方で同法は、各種の中国対策条項が上下両院での法案協議の中で削除されたことから、今後それらの条項を補うための法案が提出されるものと予想されている。

なお、米中首脳会談で進展がみられなかったとされている気候変動・環境分野においては、7月中旬に中国の黄潤秋生態環境部部長が訪米し、ジーナ・レモンド商務長官やカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)らと会談したことが挙げられる。しかし、米国メディアの注目度は高くなかったとされている。

米国の対中政策・措置や米国側から見た米中関係の動向を、行政府、連邦議会、産業界、学会に分けて解説する本レポートは、こちらの特集ページからさかのぼって閲覧が可能。米中関係に関する中国の動向も確認できる。

(滝本慎一郎)

(米国、中国)

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