バイデン米大統領、中国の習国家主席と5回目の会談

(米国、中国)

ニューヨーク発

2022年07月29日

米国のジョー・バイデン大統領は728日、中国の習近平国家主席と3月以来5回目となる首脳会談を電話で行い、その要旨を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

3月の首脳会談では、ロシアのウクライナ侵攻に焦点が当たったが(2022年3月23日記事参照)、今回は2国間や地域、世界における幅広い課題について議論を交わしたとしている。具体的な課題は列挙されていないが、両首脳はそれぞれのチームに対して、特に気候変動と公衆衛生の安全保障を中心に、今回の協議内容をフォローするよう指示した。また、米国政府の要旨の最後では、バイデン大統領が前回と同様に、台湾に関する米国の政策は変わっておらず、現状の変更または台湾海峡の平和と安定を脅かす一方的な取り組みに強く反対すると強調したとしている。

台湾に関しては、米国連邦下院のナンシー・ペロシ議長(民主党、カリフォルニア州)が8月に訪問を計画していると報じられたことで、米中両国に緊張が走っている。中国外交部の趙立堅報道官は725日の会見で「もし米国が(ペロシ議長の)訪台にこだわるなら、中国は主権と領土の一体性を守るために、断固とした強力な措置を取る」と発言している。米国国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー報道官は27日、ペロシ議長自身が決めることだとし、政権としての賛否を明確にしなかったが、事実関係や背景、分析、地政学的現状について議長側に説明を行っていると述べた。

なお、バイデン政権は、トランプ前政権から継続している1974年通商法301条に基づく中国原産品への追加関税を見直しているところだが、今回の首脳会談で関税問題が議題に挙がったかに関し、米側の会談要旨では触れられていない。米国政権高官は、会談後の記者向けブリーフィングで、バイデン大統領は中国の不公正な経済慣行に関する懸念を習主席に説明したが、「関税問題の次なる動きについては話し合っておらず、何らかの決定が今回の会談まで待たれていたと考えるのは間違い」と発言している。

(磯部真一)

(米国、中国)

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