ペロシ米下院議長、アジア歴訪を正式発表、台湾はスケジュールに含まれず

(米国、日本、シンガポール、マレーシア、韓国、中国、台湾)

米州課

2022年08月01日

米国のナンシー・ペロシ連邦下院議長(民主党、カリフォルニア州)は731日、下院の民主党議員団を率いて、インド太平洋地域に位置するシンガポール、マレーシア、韓国、日本を訪問すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。歴訪スケジュールに、台湾は含まれていない。

ペロシ議長のアジア訪問については、英フィナンシャル・タイムズ紙が718日に「同氏は8月に台湾訪問を計画している」と報じて以降、注目を集めてきた。米中首脳会談(2022年7月29日記事参照)が行われた同月28日、中国外交部の趙立堅報道官は「中国は米国に対して、ペロシ議長の台湾訪問の可能性に対する断固反対の姿勢を繰り返し明らかにしてきた。国防部報道官は『米国が訪問にこだわるなら、中国軍は決して傍観しない』と述べている」と語った。また、中国軍は730日に台湾の対岸に位置する福建省で実弾練習を行い、米国および台湾への牽制を強めている。ペロシ議長は中国に対して強硬な姿勢をとることで知られており、天安門事件の2年後に当たる1991年に同広場を訪れ、亡くなったデモ参加者を称賛する横断幕を掲げた過去もある。

ペロシ議長が今回発表したプレスリリースでは、「議員団はシンガポール、マレーシア、韓国および日本でハイレベルな会合を開き、平和と安全保障、経済成長と貿易、新型コロナウイルスの流行、気候危機、人権、民主的な統治など、共通の利益と価値を高めるための議論を行う」として、アジア訪問はあくまでインド太平洋地域における米国の戦略的関与を強めるためのものと位置付けている。

今回の下院議員団は、同議長に加えて、グレゴリー・ミークス外交委員長(ニューヨーク州)、マーク・タカノ退役軍人委員長(カリフォルニア州、日系3世)、スーザン・ベルデネ歳出副委員長(ワシントン州)、ラジャ・クリシュナムルティ情報特別委員会委員(イリノイ州)、アンディー・キム軍事委員会委員(ニュージャージー州)の5人で構成されている。ペロシ議長は「われわれは、下院の活動を知らせ、(インド太平洋)地域におけるパートナーシップを強化する生産的な会議を行えることを楽しみにしている」と述べ、リリースでの発表を締めくくっている。

(片岡一生)

(米国、日本、シンガポール、マレーシア、韓国、中国、台湾)

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