韓国水力原子力、ロスアトムの子会社とエルダバ原発向け資機材供給契約を締結

(韓国、エジプト、ロシア)

ソウル発

2022年08月30日

韓国の産業通商資源部は825日、韓国水力原子力(注1)がエジプトのエルダバ(El Dabaa)原子力発電所の建設プロジェクトを受注したと発表した。エルダバ原発は、エジプトの原子力発電庁が発注し、ロシアのASE(注2)が受注した1,200メガワットの発電所を4基建設するプロジェクトで、総事業費は約300億ドルに上る。

韓国水力原子力は、今回のASEとの契約によりエルダバ原発の資機材供給やタービン建屋の施工を担う。韓国水力原子力の受注金額は約3兆ウォン(約3,060億円、1ウォン=約0.102円)程度になる見込み。

同部は、エルダバ原発受注は2009年のアラブ首長国連邦(UAE)のバカラ発電所以来13年ぶりとなる大型受注とし、その意義を以下のとおり説明した。

1.尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が2030年までに原発10基を輸出する目標を掲げて以降(2022年6月22日2022年6月23日記事参照)、初の成果となり、今後チェコやポーランド(2022年7月5日記事参照)などで受注活動を進める際の大きな足掛かりとなる。

2.UAEのバカラ原発への参画が中東市場進出のきっかけとなったように、潜在力の高いアフリカ原発市場に初めて進出した経験によって、優秀な技術力を備えた韓国企業により多くの機会を与えることとなる。

3.受注が減少していた原発資機材および施工事業者の受注が確保され、原発産業エコシステム活性化への寄与が見込まれる。

4.韓国の原発産業が、世界で最低水準の建設単価に加え、国内の強固なサプライチェーンを基盤とした計画的な予算と工期の順守により、高い評価を受けることができる(注3)。

(注1)韓国電力の子会社で、水力発電所と原子力発電所の開発・運営などを担う。UAEのバカラ原発プロジェクトにも参画。

(注2)ロシア国営原子力会社ロスアトムの子会社。

(注3)世界原子力協会(World Nuclear Association)による原子力発電1キロワット当たりの単価は、韓国が3,571ドルで、中国の4,174ドル、米国の5,833ドル、ロシアの6,250ドル、フランスの7,931ドルに比べ、経済性に優れている。

(当間正明)

(韓国、エジプト、ロシア)

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