尹大統領、「新政権の経済政策方向」を発表、規制改革などに重点

(韓国)

ソウル発

2022年06月21日

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は6月16日、今後5年間の経済政策運営の基本となる「新政権の経済政策方向」を発表した。世界経済の不確実性が高まる中、尹大統領は「民間・市場が主導し、経済の体質を変えていかなければならない」と強調した。

尹大統領はさらに、(1)政府は民間の革新と新産業を阻害する古い制度や、法令に基づかない規制をすべて撤廃すること、(2)経済安全保障時代の戦略物資である半導体など国家戦略産業へのR&D(研究開発)支援と人材育成に政府があらゆる努力をすること、(3)若年層の就業の機会を阻害する労働市場、現場が求める人事を育成できない時代遅れの教育制度、将来の世代に負担を先送りする年金制度を改革すること、を取り組むべき方針として述べた。

さらに、足元の経済では、現在直面する物価問題、金利問題、住居問題について、「至急解決しなければならない」と付け加えた。

また、チュ・ギョンホ経済副総理兼企画財政部長官は同日、「新政権の経済政策方向」のアウトラインについてブリーフィングを行い、「自由」「公正」「革新」「連帯」の4つの柱を中心に、(1)民間中心の力強い経済、(2)体質改善で飛躍する経済、(3)未来に備える経済、(4)共に進む幸福の経済、の4つの方向性に重点を置き、今後の経済政策を進めていくと説明した。

規制改革については、経済副総理を長とする「経済規制改革タスクフォース」を新設し、重要規制の改革に取り組む。法人税の最高税率を現状の25%から22%に引き下げ、国内外の留保所得配当に対する課税を大幅に軽減する。労働市場改革については、年功序列の賃金体制の改革に取り組み、働き方改革については、週52時間労働の基本は維持しつつも、より柔軟な働き方のための勤務時間制度の改善案を設ける。

産業育成、人材育成および教育改革については、先端戦略産業の育成のための基本計画の策定、国家戦略技術育成特別法の制定を通じ、体系的かつ総合的に人材を育成する。教育改革においても、半導体など先端分野の革新人材の育成に重点を置き、パラダイムの全面転換を進める方針。

福祉社会の実現に関しては、基礎年金の引き上げ、ひとり親世帯への育児費の支援基準の緩和に取り組み、住宅については、250万戸以上の住宅供給のロードマップを策定し、住宅保有者税制負担も改正する。

(当間正明)

(韓国)

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