ASEAN日本人商工会議所連合会、ASEAN事務総長と4つのテーマで議論
(ASEAN、日本)
ジャカルタ発
2022年08月12日
ASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA、注)とジェトロは8月10日、14回目となるASEAN事務総長との定期対話をインドネシアのジャカルタでハイブリッド形式で実施した(ジェトロプレスリリース、ASEAN事務局プレスリリース)。ASEAN地域に進出している日系企業の現状や抱える課題、ASEANの経済・社会に貢献する取り組みなどについて議論を交わした。
今回の対話には、リム・ジョクホイASEAN事務総長に加え、サトビンダー・シンASEAN事務局次長やデジタル経済担当責任者らが参加した。日本側はFJCCIA参加の商工会議所各国会頭や、ジェトロの佐々木伸彦理事長、ASEAN日本政府代表部の千葉明大使が出席した。FJCCIAの嶋田慎一郎議長(フィリピン日本人商工会議所会頭)は、ASEANが掲げる包括的復興枠組み(ACRF、2021年5月26日付地域・分析レポート参照)に従って、1.ASEAN域内市場とより広範な経済統合の潜在性最大化、2.包括的なデジタルトランスフォーメーション(DX)、3.より持続可能で強靭(きょうじん)な未来、4.人的資本の開発の4点について要望や協力を提言した。また、直近のウクライナ情勢により、貿易円滑化の重要性が高まっていると指摘した上で、「ASEAN域内では、非関税障壁などの貿易制限を回避し、食糧安全保障を維持する仕組みが必要ではないか」と訴えた。また、ラオス日本人商工会議所(中嶋諭会頭)は、ドライポートの運用の改善や陸上積み替えの費用・品質の改善を通した同国の貿易円滑化と陸上輸送の利便性向上を訴えた。
日本側の提案や要望に対して、リムASEAN事務総長は「貿易・投資の拡大や技術移転、グリーン・脱炭素関連技術の導入などの分野で日本企業によるASEANでの取り組みを歓迎する」と回答した。
(注)FJCCIAは、ASEAN加盟10カ国のうちブルネイを除く9カ国10組織の日本人商工会議所により構成され、2022年6月現在の会員数は7,317社に達する連合組織。2008年から年に1回、ASEAN事務総長と対話を続けていたが、2020年は新型コロナウイルスの影響によって対話を見送り、緊急提言のみ実施していた。
(上野渉)
(ASEAN、日本)
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