第14回 ASEAN事務総長とASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)との対話を開催 ―リム・ジョクホイASEAN事務総長、厳しさ増す世界経済の中で民間企業連携の重要性を強調―

2022年08月10日

ASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)と日本貿易振興機構(JETRO)は8月10日、ASEAN日本政府代表部の千葉明特命全権大使、東アジア・アセアン経済研究センター (ERIA)の西村英俊事務総長、経済産業省通商政策局の桐山伸夫通商交渉官の参加を得て、リム・ジョクホイASEAN事務総長とジャカルタで対話を行いました。ポスト・コロナ時代に向けて日本企業のASEANでの事業・投資活動を再活性化させるべく、ASEAN進出日系経済界からの提言書を基に議論を行いました。今回の対話ではビジネス環境の改善要望や日ASEANでの事業協力の提案をASEAN事務局に行い、2023年の日本ASEAN友好協力50周年に向け、今後1年間をかけて新型コロナウイルスからの完全な経済復興の実現に向けて、日本企業はASEANと連携した取り組みを深めることを約束しました。

  • FJCCIAの嶋田慎一郎議長(フィリピン日本人商工会議所会頭)は、ASEANの目指すASEAN包括的復興枠組み(ACRF)に基づき、1.ASEAN域内市場とより広範な経済統合の潜在性最大化、2.包括的なデジタル・トランスフォーメーション、3.より持続可能で強靭な未来、4.人的資本の開発という4つの柱について提言を行いました。
  • 全9カ国の日本人商工会議所などの代表が参加しましたが、特に、以下の発言がありました。
    1. カンボジア日本人商工会(神田陽悟会長): メコン地域における陸上輸送の活性化と連結性の向上。具体的にはカンボジア=タイ国境(ストゥンボット=バンノンイアン)やカンボジア=ベトナムの輸送ルートの改善。
    2. ジャカルタ・ジャパン・クラブ(木村亨理事長):ASEAN共通の課題でもある非関税障壁などに悩む日系企業が多く、解決に向けASEAN事務局のリーダーシップを期待。
    3. ラオス日本人商工会議所(中嶋諭会頭):内陸国ラオスにおける貿易円滑化と陸上輸送の利便性向上。具体的には、ドライポートの運用の改善や陸上積み替えの費用・品質の改善。
    4. バンコク日本人商工会議所(加藤丈雄会頭):ASEANが主導するグリーン経済・カーボンニュートラルにかかる規格統一やガイドラインの推進を要望(グリーン認証、再エネ電力証書、カーボンクレジットなどの基準統一など)。
  • リム・ジョクホイ事務総長は、ポスト・コロナ期においてASEANがいかに経済を強じん化していくかについて、貿易開放性、デジタル・トランスフォーメーション、サステナビリティの推進などの戦略を日系産業界に示しました。また、リム事務総長は、貿易・投資の拡大や技術移転、中小企業のデジタル技術獲得に向けたアップ・スキリングとリ・スキリング、グリーン・脱炭素関連技術の導入といった分野での協力深化に向けて、日系産業界によるASEANでの取り組み、ASEANとの緊密な連携を歓迎しました。
  • ジェトロは本対話の枠組みが開始して以来、運営を支援しています。FJCCIAの要望項目の実現に向けて、今後1年間のフォローアップ活動を約束しました。
  • 今次対話はハイブリッド方式で開催されました。対面での提言は3年ぶりです。FJCCIAはASEAN9カ国の日本人商工会議所会員により構成され、2022年6月現在の会員数は7,317社に達する、ASEAN域内最大の連合組織です。2008年から年に一度、ASEAN事務総長との対話を続けています。

ASEAN事務総長への要望・提案(英語PDFファイル (235KB) 日本語PDFファイル (1.2MB)


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