米商務省、輸出管理規則違反の疑いで中国ケーブル最大手に違反認定通知状を発行

(米国、中国、イラン)

ニューヨーク発

2022年08月09日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は88日、米国の輸出管理規則(EAR)違反の疑いで、中国最大のケーブルメーカーのファーイースト・ケーブルに対して違反認定通知状(charging letter)を発行したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

BISの発表によると、ファーイースト・ケーブルは20149月~20161月に、中国の通信機器大手の中興通訊(ZTE)とイランの通信企業の取引に、仲介役として関与していた。ZTEは当時、EAR違反となるイラン向け取引の疑いで米国政府の捜査下にあったが、同社の違反行為を隠蔽(いんぺい)・かく乱するためにファーイースト・ケーブルが米国原産の機器をイランに持ち込んでいたとされる。BISはファーイースト・ケーブルに対して18件のEAR違反の疑いをかけている。ZTE20173月にEAR違反を認定されたが、20186月に10億ドルの罰金を支払うことで米国商務省と和解している(2018年6月18日記事参照)。

マシュー・アクセルロッド商務次官補は「今回の行動は、商務省が(違反)取引の真の関係者を偽装する仕組みに加担する者に対して厳格に法執行していくというコミットメントを反映したものだ。自らのためか、誰かのためかにかかわらず、われわれのルールをないがしろにする者には、情状酌量の余地はない」との声明を出している。

なお、違反認定通知状はあくまでもEARに基づく行政執行手続きの出発点であり、発行時点でEAR違反が認められるわけではない。違反の疑いをかけられた事業体には抗弁の機会が与えられる。BISはこれまで、事案が決着するまで違反認定通知状を公開してこなかったが、それでは違反審査の対象者に対して事案解決に向けたインセンティブが働かないことや、大衆が法令順守を向上させるための情報にアクセスできないといった問題があるため、6月に規則を変更した(2022年7月4日記事参照)。

(磯部真一)

(米国、中国、イラン)

ビジネス短信 98e04cb8f86ffac8