ZTE、米商務省による制裁の和解を発表

(中国)

広州発

2018年06月18日

大手通信機器メーカー中興通訊(ZTE)は6月12日、米国による制裁(2018年4月20日記事参照)について、米商務省との和解を発表した。ZTEは60日以内に罰金10億ドルを支払い、90日以内に預託金4億ドルを拠出する。その他の主な内容は次のとおり。

  1. 米商務省は、10年間の猶予期間を設けた上で「輸出特権」の否認を課す。猶予期間内に新たな違反があった場合、「輸出特権」が否認される。
  2. ZTEは、30日以内に取締役会の全メンバーを交代し、新役員3人以上からなる監査・コンプライアンス委員会を設置する。
  3. 30日以内に現職の高級副総裁以上の経営層、および2017年3月の違反行為と2018年4月15日の「輸出特権」の否認に関与した管理職などの契約を解除し、再雇用しない。
  4. 30日以内に特別コンプライアンスコーディネーターを招聘(しょうへい)する。コーディネーターはZTEおよび全世界の子会社、関係企業が猶予期間内に関連規定を順守するための調整、監査、評価などに責任を負う。
  5. ZTEは米国輸出管理法を順守した監査報告を9部作成する。
  6. ZTEは経営層、マネジメント層、職員、子会社、関係企業および同社が実質的にコントロールしている組織に、輸出管理規定に関するトレーニングを行う。

なお、ZTEは今回の事件の影響を盛り込んだ、第1四半期報告書を再度作成するとしている。

株価は大幅に下落

1997年の上場以来、ZTEの親会社株主に帰属する純利益(注)は合計247億9,200万元(約4,214億6,400万円、1元=約17円)で、10億ドルの罰金額は合計額の約4分の1に達する(証券時報6月12日)。資金繰りが厳しくなるという声がある一方で、研究開発能力、技術蓄積などは失われておらず、安定した経営ができるとの見方もある(券商中国6月13日)。

また、和解内容と同時に、株式取引の再開も発表された。制裁翌日の4月17日以降、ZTEの株式は上場している深セン、香港両証券取引所でいずれも取引停止となっていた。取引が再開された6月13日の終値は、4月16日終値比で上海はストップ安の10%減、香港は約40%減といずれも大きく下落した。

(注)子会社など連結対象について親会社に帰属する純利益。

(河野円洋)

(中国)

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