習国家主席がバイデン大統領に協力を呼びかけ、台湾問題には警告

(中国、米国)

北京発

2022年08月01日

中国の習近平国家主席は728日(現地時間)、米国のジョー・バイデン大統領と電話会談を行った。両者の会談は3月以来(2022年3月23日記事参照)で、5回目となる。中国外交部の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、両者は米中関係および双方が関心を寄せる問題について、率直な意思疎通と交流を行ったとされている(米国側の発表は2022年7月29日記事参照)。

習国家主席は、世界的な動揺と変革が続く中、発展と安全の「2つの赤字」が突出しているとした。その上で、「国際社会と各国の人々は、中国と米国のリーダーシップにより、世界の平和と安全を維持し、グローバルな発展と繁栄を促進することに期待している」とし、これを果たすことは「2つの大国の責任」だとした。

米中関係については、「(米国が)戦略的競争の観点で中米関係を定義し、中国を最も主要な競争相手で、最も厳しい長期的な挑戦であると見なすことは、中米関係への誤った判断であり、中国の発展への誤った解釈だ」と強調し、各レベルでの意思疎通を維持し、現有のルートを活用して、双方の協力を促進するべきだとした。

具体的な協力分野として、マクロ経済政策協調、グローバルサプライチェーンの安定、エネルギー・食糧安全保障を挙げた。双方は「国連を核心とする国際システムおよび国際法を基礎とする国際秩序の維持」も推進すべきだと述べた。

また、外交部によれば、習国家主席は「重点的に台湾問題についての原則的な立場を述べた」とされている。習国家主席は「国家の主権と領土の完全性を断固として守り抜くことは、14億超の中国人の確固たる意思だ。民意に背けば報いを受け、火遊びをすれば自ら焼け死ぬことになる」と警告した。米国はこの点をはっきりと認識した上で、「一つの中国」原則を守り、3つの共同コミュニケ(注)を履行すべきだとした。

ウクライナ問題については、中国側の原則的な立場をあらためて表明した。

今回の会談について、中国人民大学国際関係学院の金燦栄教授は「中国は米国の政策に対して非常に率直で直接的な批判をした。これは首脳同士の会談ではまれなものだ。強固な立場を表明すると同時に、協力の方向性も示しており、中国の中米関係における主導性を表している」と評価した(「環球網」729日)。

(注)1972年、1978年、1982年に発表された中国と米国間の3つのコミュニケを指す。

(河野円洋)

(中国、米国)

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