ペロシ米下院議長が岸田首相と会談、日米同盟やインド太平洋地域の安全保障で意見交換

(米国、日本)

米州課

2022年08月08日

米国連邦議会のナンシー・ペロシ下院議長(民主党、カリフォルニア州)は85日、アジア歴訪の最終目的地として訪日した。ペロシ議長は岸田文雄首相や細田博之衆議院議長と会談し、日米同盟やインド太平洋地域、国際社会の安全保障問題などについて意見交換を行った。

外務省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ペロシ議長と下院民主党議員団(注)は岸田首相主催の朝食会に出席した。ペロシ議長と岸田首相は日米同盟の強化や「自由で開かれたインド太平洋」について意見交換し、岸田首相はこれらの実現のためにペロシ議長のリーダーシップと米国議会の支援を期待していると述べたとしている。また、中国の弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)を含む日本近海に落下したことを踏まえ、台湾海峡の平和と安定の維持に向け、引き続き日米で緊密に連携することを確認したほか、北朝鮮やロシアによるウクライナ侵攻など安全保障問題について意見交換を行った。

ペロシ議長は訪日を受けて声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、「共通の価値観に根ざした米日同盟は、インド太平洋の安全保障、繁栄、平和の礎だ」として重要性を強調し、岸田首相との会談で「安全保障の推進と民主主義の擁護という米日共通のコミットメントを再確認した」としている。細田衆議院議長との会談では、ジョー・バイデン大統領のアジア太平洋構想の重要性と、同地域での日本の指導的役割について伝えたと述べている。

ペロシ議長による今回のアジア歴訪はバイデン大統領のアジア重視の方向性を踏まえたものだったとみられる。他方、台湾訪問は、バイデン大統領が事前に「良いアイデアではないと考えている」と難色を示していた中で実行された。ペロシ議長は記者会見で「あなた自身の遺産を整えるためだったのではないか」と指摘されたが、「ばかげた質問だ」としてこれを否定した。

(注)下院民主党議員団は、ペロシ下院議長に加えて、グレゴリー・ミークス外交委員長(ニューヨーク州)、マーク・タカノ退役軍人委員長(カリフォルニア州、日系3世)、スーザン・ベルデネ歳出副委員長(ワシントン州)、ラジャ・クリシュナムルティ情報特別委員会委員(イリノイ州)、アンディー・キム軍事委員会委員(ニュージャージー州)の5人で構成。訪日前には、シンガポール(2022年8月2日記事参照)を皮切りに、マレーシア(2022年8月3日記事参照)、台湾(2022年8月3日記事参照)、韓国(2022年8月5日記事参照)を歴訪した。

(葛西泰介)

(米国、日本)

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