人民銀行、ローンプライムレートを引き下げ
(中国)
中国北アジア課
2022年08月22日
中国人民銀行(中央銀行)は8月22日、ローンプライムレート(LPR)の期間5年以上の金利を4.45%から4.30%に0.15ポイント、期間1年を3.70%から3.65%に0.05ポイント、それぞれ引き下げると発表した。期間5年以上は5月20日(2022年5月23日記事参照)以来3カ月ぶり、期間1年は1月20日(2022年1月21日記事参照)以来7カ月ぶりの引き下げとなった(LPRの推移については添付資料図参照)。
中国人民銀行は8月1日に開催した2022年下半期業務会議で、流動性を合理的水準に維持し、金融機関による貸し出し増加を促すとともに、貸出金利が安定的に低下するよう誘導すると示していた(2022年8月5日記事参照)。8月10日発表の2022年第2四半期(4~6月)金融政策執行報告では、企業の調達コストを低下させるため、各種政策金利の引き下げによりLPRの指導機能を発揮させるとしていた。
中国人民銀行は8月15日、期間1年のMLF金利(注)を2.85%から2.75%に、期間7日リバースレポ金利を2.10%から2.00%に、それぞれ0.10ポイント引き下げており、今回のLPR引き下げはこれらを受けての動きとみられる。
中国人民銀行の8月12日発表の7月金融統計報告によると、7月末のマネーサプライ(M2)残高は6月末比3,373億元(約6兆7,460億円、1元=約20円)減少の257兆8,079億元、人民元貸し出しは6月末比6,790億元増加の207兆300億元だった。人民元貸し出しについては、2022年上半期の毎月の平均増加額2兆2,800億元と比較すると、規模が限定的だ。
中信証券研究部は8月17日のレポートで「7月の金融統計が総じて弱く、8月15日の中国人民銀行による金利引き下げが貸し出し増強のための刺激策であることは明確だ。足元で弱含む貸し出しに対して『治療』が必要と考えるならば、これら市場の予測を超えたMLF金利などの引き下げはLPRの引き下げを導き、貸し出し増加に対する『即効薬』としての機能が期待される。歴史的経験から見ても、LPR引き下げは即効性があるため、8月の貸出回復に効果がある」と指摘していた。
(注)MLFは中期貸出ファシリティー(Medium term Lending Facility)を指す。中国人民銀行が資金供給を行う金融政策手段の1つで、2014年9月に導入した。中国人民銀行は1週間以下の短期資金を公開市場操作の7日物リバースレポで供給し、3カ月から1年の資金はMLFを通じて供給している。MLFはLPRを算出する指針となる。
(亀山達也)
(中国)
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