米国の2020年州別平均寿命は全州で低下、新型コロナの影響が鮮明に

(米国)

ニューヨーク発

2022年08月29日

米国疾病予防管理センター(CDC)は823日、2020年の州別の平均寿命を公表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)し、全州・地域で2019年より低下したことを明らかにした。CDC20211221日に全米の平均寿命は77.0歳で、2019年より1.8歳低下したことを発表していたが(2022年1月4日記事参照)、今回は州別などの詳細な分析を公表した(添付資料参照)。

平均寿命が最も低下したのはニューヨーク州で、前年比マイナス3.0歳の77.7歳となった。同州では、新型コロナウイルス感染初期に、震源地として多数の死者を出したことが影響したとみられる。隣接するニュージャージー州の平均寿命も2.6歳低下し、全米平均を大きく上回る低下幅となった。

また、新型コロナウイルス以外の要因として、薬物乱用を挙げている。特に、米国では新型コロナ禍の中、比較的容易に入手できる医療用麻薬「オピオイド」の使用が増加した。CDCによると、首都ワシントン(コロンビア特別区)を含む37の地域で、オピオイドによる死者数が前年よりも増え、コロンビア特別区の平均寿命はこの影響もあってか、ニューヨーク州に次ぐ低下幅(マイナス2.7歳)となった。

また、米国の平均寿命について、東海岸や西海岸で高く、南部で短いという傾向が見て取れる。東海岸や西海岸に比べると、南部は低所得者層の割合が高いと言われており、こうした所得格差が平均寿命の差を生んでいる可能性がある。商務省センサス局によると、南部のミシシッピ州やルイジアナ州では、2020年の貧困状態にある人々の割合が全米で最も高く、それぞれ18.7%、17.8%となっている。

(宮野慶太)

(米国)

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