米国の2021年7月まで1年間の人口増加率は0.1%、過去最低を記録

(米国)

ニューヨーク発

2022年01月04日

米国商務省センサス局は12月21日、2021年7月までの米国の1年間の人口増加率が0.1%になり、過去最低を記録したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。7月時点の最終的な総人口は約3億3,190万人となった。

2020年7月比の人口増加は約39万3,000人で、出生数(約358万2,000人)から死亡数(約343万4,000人)を引いた自然増が約14万8,000人、移民増が約24万5,000人だった。移民増が自然増を上回ったのは初めてで、新型コロナウイルス禍や高齢化などで出生数減少、死亡数増加による自然増の減少が特に響いた。州別に見ると、人口増加率が上位の州は、アイダホ(2.9%増)、ユタ(1.7%増)、モンタナ(1.7%増)の順(添付資料表参照)で、逆に下位は、ワシントンD.C.(2.9%減)、ニューヨーク(1.6%減)、イリノイ(0.9%減)の順だった。なお、新型コロナ禍で移民の増加ペースも前年より鈍化した(添付資料図参照)が、最終的には50州とワシントンD.C.の全てで国外からの移住者は増加しており、増加数上位州はフロリダ(3万8,590人)、テキサス(2万7,185人)、ニューヨーク(1万8,307人)となった。

関連するデータとして、米国疾病予防管理センター(CDC)は同日、2020年の米国人の平均寿命が77.0歳となり、2019年に比べ1.8歳短くなったことを明らかにした外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。減少幅は第2次世界大戦時の1943年(前年比2.9歳減)以来最大で、7月に発表した暫定値(77.3歳、2021年7月28日記事参照)よりさらに0.3歳短くなった。性別でみると、男性は74.2歳(同2.1歳減)、女性は79.9歳(同1.5歳減)だった。10万人当たり何人死亡したかという死亡率を人種別に見ると、前年からの上昇率はヒスパニック系男性42.7%、ヒスパニック系女性32.4%で最も高くなっているのに対して、最も低いのは白人男性13.4%、白人女性12.1%となるなど、人種間でかなりの差が見られた。また、死亡要因別では、新型コロナウイルス感染症は3位(35万831人、シェア10.4%)で、1位の心臓病(69万6,962人、シェア20.6%)、2位のがん(60万2,350人、シェア17.8%)に続いた。

先進国の中でも高い米国の経済成長率はその人口増加に支えられている側面がある。その米国でも高齢化が進み、合計特殊出生率が過去最低を記録するなど少子化が進む中で(2021年5月13日記事参照)、新型コロナ感染症による死亡数の増加、移民増加ペースの鈍化がこうした傾向に追い打ちをかけるかたちとなった。新型コロナの新たな変異株オミクロン株の発生により、2022年に感染拡大が収束に向かうかはまだ見通せない状況にあり、今後米国の人口動態がどのように変化するのか注目される。

(宮野慶太)

(米国)

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