国際NGO、森林破壊防止デューディリジェンスに天然ゴムを含めるようEUに呼びかけ

(コートジボワール)

アビジャン発

2022年07月06日

国際NGOグローバル・ウィットネスは6月16日、報告書を発表し、2021年11月17日に欧州委員会が発表した、森林破壊防止を目的としたデューディリジェンスの対象(2021年11月19日記事参照)から除外されている天然ゴムを盛り込むよう、欧州議会議員に働きかけていく意向だ。同デューディリジェンス義務化規則案は現在、木材、カカオ、コーヒー、パーム油、大豆、牛肉のほか、革、チョコレート、家具など特定の派生製品をデューディリジェンスの対象としており、天然ゴムは対象外になっている。

同NGOは、衛星データを基にカメルーン、コートジボワール、ガボン、ガーナ、リベリア、ナイジェリアの計40カ所の工業用ゴム農園をマッピングし、2000~2020年の間にゴム農園に転換された森林面積を計測してきた。2020年以降、工業用ゴム農園は、約5万2,000ヘクタールの森林破壊に関与していると推定される。失われた生態系は、西アフリカの森林保護区からコンゴ盆地の原生林まで広域にわたっている。しかし、この調査は工業用ゴム農園のみを対象としており、小規模農家のゴム農園は含まれていないため、森林破壊の実態よりも過小評価されていると指摘している。

さらに同NGOは、西・中部アフリカの森林破壊の責任の一端は欧州にあるとしている。その主な理由として、貿易取引と欧州の銀行による融資の2点を挙げている。例えば、欧州はアフリカで生産される天然ゴムの30%以上を輸入している。その輸入金額は約5億300万ドルで、同地域からのパーム油の輸入金額の12倍以上に達している。

天然ゴム業界では、持続可能性への取り組み、森林破壊の防止、バリューチェーンの透明性確保に対する意識が高まる中、EUの環境相は2022年1月の非公式会合において、森林破壊防止規則の対象を天然ゴムなど他の商品作物にも拡大するかどうかについて議論することを決定している。

なお、コートジボワールは、世界最大のカカオ生産国(2022年4月18日記事参照)であるほか、アフリカ最大の天然ゴム、3位のパーム油生産国でもある。そのため、これら産品の最大の輸出先であるEUでの同規則案の審議の行方を注視している。

(野澤俊明、渡辺久美子)

(コートジボワール)

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