ECOWAS首脳会議、マリとブルキナファソのクーデターめぐる制裁を一部解除
(マリ、ブルキナファソ、ギニア)
アビジャン発
2022年07月27日
西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)首脳会議が7月3日 、ガーナの首都アクラで開催され、クーデターで政権を掌握したマリとブルキナファソの軍事政権に科していた経済・金融制裁(2022年1月13日記事参照)を全て解除することで合意した。ギニアに対しては制裁が維持されることとなった。
最終コミュニケによると、首脳会議では、マリとブルキナファソが提示した民政移管スケジュールを受け入れた。マリは2024年3月までに、ブルキナファソは2024年7月までに、それぞれ民政移管に向けた大統領選挙を実施予定となっている。もっとも、クーデター首謀者ら個人への制裁や、ECOWASの資格停止処分については、選挙実施まで維持する。なお、首脳会議では、アフリカ連合(AU)憲章第25条にのっとり、暫定政権の構成員が憲法秩序の回復に向けた選挙に立候補することを禁じる措置を確認した。
一方、ギニア軍事政権に対しては、適切な期間内の民政移管ロードマップを提示できなかったとして制裁維持となった。同国は3年間の移行期間を提示したが、ECOWAS首脳会議は受け入れず、8月1日までに「適切な期間」を提示しなければ、経済・金融制裁を即時発動すると警告した。
サヘル地域では近年、イスラム過激派武装組織が活動を活発化させている。こうした状況を受け、マリでは2020年8月(2020年8月20日記事参照)と2021年5月(2021年6月17日記事参照)、ギニアでは2021年9月(2021年9月7日記事参照)、ブルキナファソでは2022年1月(2022年1月26日記事参照)にクーデターが起きている。これらの国々の軍部は政府の失政で多くの犠牲を強いられたと批判しているが、国民の間でも政府の治安維持能力を疑問視する声が高まっていた。
(渡辺久美子)
(マリ、ブルキナファソ、ギニア)
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