西アフリカ諸国経済共同体がマリに制裁を発動

(マリ)

アビジャン発

2022年01月13日

15カ国が加盟する西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は1月9日、ガーナの首都アクラで臨時首脳会議を開き、マリで2度のクーデターを起こし実権を掌握した軍事政権による民政移管プロセスの延期を受けて、厳しく制裁することを決議した。この決定に伴い、ECOWASは内陸国マリとの国境を封鎖し、禁輸(基本的生活必需品を除く)や援助停止、西アフリカ諸国中央銀行によるマリ国有資産の凍結など経済制裁を科すとともに、大使を召還する。制裁は即時発動となった。

軍事政権は、安全上の問題と政治改革を理由に2026年12月に民政移管の選挙を実施するとしているが、ECOWASは「国民を人質に不法な軍政が5年も居座ろうとしている」と批判した。同政権は当初、2020年8月のクーデターに続いて発足した暫定政府(2020年9月30日記事参照)が進めていた民政移管に向けたロードマップに従い、予定どおり2022年2月に選挙を実施すると約束していた。ECOWASは約束どおりの選挙実施を迫っていた。

同政権はECOWASの決定を受けた同日、ECOWASのマリに対する制裁は、「違法」で「非人道的」だと非難するコミュニケを発表した。2度のクーデター(2020年8月20日記事2021年6月17日記事参照)を首謀した軍事政権の首班ゴイタ大佐は1月10日、「ECOWASはマリ情勢の複雑性に鑑みず、われわれの努力を無視した」と言明した。

マリ国内では、今回の制裁措置について、フランスの関与を懐疑的に見る向きも多く、反発が高まっている。フランスは2013年、当時のマリ政府の要請を受け、イスラム過激派の掃討作戦を開始した。5,000人の部隊を派遣してきたが、フランス軍犠牲者も多く、マクロン大統領は2021年、派兵規模を2,500~3,000人に縮小する計画を明らかにしていた。軍事政権はその空白を埋めるかたちで、ロシアの民間軍事会社と契約を進めていたとされ、フランスとの間で緊張が高まっていた。なお、ECOWAS加盟国であるギニアの暫定政府は、マリに対し「国境を封鎖しない」と発表した。

マリの混乱に乗じて、イスラム過激派が勢力を伸ばす可能性もあり、今回の出来事は地域の安全保障にとって懸念材料になっている。

マリは、アフリカ有数の金の産出国で、最近ではリチウム開発も進む。綿の生産はアフリカ最大だが、天候や国際市場価格の影響を受けやすく、経済基盤が脆弱(ぜいじゃく)だ。1人当たりGNI(国民総所得)が1,018ドルに満たない後発開発途上国で、経済開発とともに貧困脱却が課題となっている。

(渡辺久美子)

(マリ)

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