6月のインフレ率が再び悪化、並行レートの通貨下落でインフレ加速

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年07月22日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は714日、6月の消費者物価指数(CPI)上昇率を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。全国平均値は前月比5.3%だった。3月の6.7%をピークに、4月と5月はやや減速したが、6月に再び加速した。前年同月比(年率)では64.0%上昇し、4月と5月に引き続き、過去30年間で最高を更新した(添付資料図参照)。1月~6月の累計上昇率(前年12月比)は36.2%に達した。

INDECによると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは、6月単月の上昇率で前月比6.6%、エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは5.3%、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は5.1%上昇した。

6月単月の上昇率を費目別にみると、前月比で大きく上昇したのは、医療・健康(7.4%)、住宅・光熱・その他燃料(6.8%)、酒類・たばこ(6.7%)、外食・ホテル(6.2%)など(添付資料表1参照)。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は4.6%だった。

ジェトロが715日にブエノスアイレス市内で価格調査を行った結果、耐久消費財の価格が前月比で2桁台の値上がりを記録した(添付資料表2参照)。

為替については、6月末の中央銀行による資本取引規制の強化(2022年6月30日記事参照)、74日のマルティン・グスマン経済相の辞任(2022年7月6日記事参照)、与党連合内で中道左派のアルベルト・フェルナンデス大統領と急進左派のクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル副大統領の関係が悪化したことなどで先行き不透明感が増し、並行為替市場で通貨ペソが下落した。物価の上昇に大きく影響する並行為替レートは71日に1ドル239ペソだったが、その後下落が続き、19日には1ドル300ペソになった。複数の現地紙によると、エコノミストらは、7月上旬で既に物価が4.0%上昇しており、月全体のインフレ率は7.0%に達するとしている。2022年末時点のインフレ率は85%から100%を超えると予想している(718日付現地紙「ラ・ナシオン」「アンビト」など)。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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