中銀、輸入代金の決済に係る資本取引規制をさらに強化

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年06月30日

アルゼンチン中央銀行は6月27日、中銀通達A7532PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布し、輸入代金の支払いに係る資本取引規制を強化した。即日施行した。

クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル副大統領は最近、「輸入祭りの状態だ」として、輸入の増加を容認する政府の対応を強く批判していた(現地紙「インフォバエ」6月20日)。足元では、外貨準備高が減少している。中銀は、本通達により、財、サービスの輸入に係る資本取引規制をさらに強化する。

まず、輸入申告(SIMIの申請)におけるカテゴリーAの1カ月当たりの申請可能額の上限を縮小した。1カ月当たりのカテゴリーAの申請は、当月までに発生した年間限度額の比例配分額(年間限度額/12カ月×月数)までという基本ルールは変わらない(2022年3月14日記事参照)。しかし、これまで認められていた1カ月当たりの申請額に年間限度額の20%相当額を加算することが、9月30日までできなくなった。その結果、1カ月にカテゴリーAで申請できる枠が縮小する。

次に、非自動輸入ライセンス対象品目を9月30日まで、輸入代金の支払いに関する例外から除外した。メルコスール対外共通関税〔NCMコード(注)〕分類で資本財(BK)に該当する品目、新型コロナウイルス検出用キット、または政令333/2020号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが規定する医療関連製品、非自動輸入ライセンス対象品目、肥料や医療機器などは、輸入通関から180暦日を待つことなく支払いが可能な例外的な品目だが、今回の措置により、非自動輸入ライセンス対象品目の例外扱いを停止し、その輸入代金の支払いは、カテゴリーAで輸入するものは通関後、カテゴリーBで輸入するものは通関から180暦日以降になった。

また、資本財の輸入代金の前払いの条件も見直される。これまでは、100万ドルを超えない資本財の輸入については中銀の事前承認を受けることなく輸入代金の前払いが可能だったが、9月30日までの間は、船積み後に80%、通関後に20%の支払いに制限される。

その他、6月28日以降に船積みされた貨物を対象に、通関から180歴日以降でなければ輸入代金の支払いができない特定の品目を追加した(通達付属書I)。同様に、6月28日以降に船積みされた貨物を対象に、通関から365歴日以降でなければ輸入代金の支払いができない、ぜいたく品の対象品目を追加した(通達付属書II)ほか、既に対象となっているぜいたく品についても金額要件などを見直した。

サービスの輸入代金の支払いについても、財の輸入と同様の仕組みを導入し、2021年の輸入実績額を超える支払いについては、サービスの提供を受けた日から180暦日以降の支払いを規定した。

(注)8桁で構成されるメルコスール共通関税番号で、上6桁はHSコードと同じ。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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