G20財務相・中央銀行総裁会議開催、ウクライナ情勢に関する意見対立が続く
(世界、インドネシア、ロシア、ウクライナ、カナダ)
ジャカルタ発
2022年07月26日
G20財務相・中央銀行総裁会議が7月15、16日、インドネシアのバリ島で開催され、食料・エネルギー危機や直近のウクライナ情勢、気候変動問題などについて議論が行われた。7月7、8日に開催されたG20外相会合(2022年7月12日記事参照)と同様に、意見の対立から共同声明は採択されず、代わりに議長総括が発表された。
同会合では、多くの参加国がロシアによるウクライナ侵攻を非難し、世界経済が後退する危険に直面しているとして、戦争の終結を訴えた。一方で「特定の1カ国」は、経済制裁が既存の問題を増幅させるとの見方を示したとされる。また、気候変動に関する継続的な行動、および債務の脆弱(ぜいじゃく)性への対処の重要性も指摘された。参加国のうちの大多数が、食料・エネルギー問題への懸念を表明し、一部の国は、食料危機をさらに悪化させる可能性がある肥料の入手可能性について懸念を表明した。また、新たな国際課税ルール(2021年10月14日記事参照)、新型コロナウイルス感染拡大抑制のための政策、インフレへの取り組みについても議論が行われた。
ウクライナ情勢への足並みそろわず
招待国として参加した、ウクライナのセルヒ・マルチェンコ財務相は「ロシアが食料危機やエネルギー問題を引き起こしている」として、同国に対する制裁圧力を強化するよう訴えた(ウクライナ財務省ウェブサイト)。カナダのクリスティア・フリーランド副首相兼財務相は、同会合へのロシア代表の参加について「消防士の会合に放火犯を招くようなものだ」と強く批判した(カナダ財務省ウェブサイト
)。一方、中国やインド、南アフリカ共和国からはロシアを批判する発言はなかった(「ロイター」7月17日)。インドネシアのスリ・ムルヤニ財務相は、メディアの取材に対し「完全な合意が得られずとも構わない」とした上で、「インドネシアは、G20議長国として、G20を経済協力のための最高のプラットフォームとして活用する」とコメントし、特定の国を排除することはないと明らかにした(「ファイナンシャル・レビュー」7月19日)。
(上野渉)
(世界、インドネシア、ロシア、ウクライナ、カナダ)
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