G20外相会合、対立の溝埋まらず

(世界、インドネシア、米国、ロシア、ウクライナ)

ジャカルタ発

2022年07月12日

G20外相会合が7月7、8日、インドネシアのバリ島で開催され、食料・エネルギー危機などについて議論が行われた。会合にはロシアのセルゲイ・ラブロフ外相や、米国のアントニー・ブリンケン国務長官らが直接参加した。ロシアによるウクライナ侵攻に関しては、米国や日本などがロシアを批判する一方、ロシアは自国の正当性を主張して会場を一時退席するなど、対立の溝は埋まらなかった(「チャンネル・ニュース・アジア」7月8日)。今回会合の共同声明は発表されていない。

会合では、多くの参加国が畑や道路、港湾などウクライナの農業インフラを標的としたロシアの侵略行為を非難した。また、ウクライナ産の穀物輸送のため、黒海封鎖の解除をロシアに求める声も聞かれた(米国国務省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。一方、ラブロフ外相は「食料危機は今年から始まったのではなく、西側諸国によるグリーンエネルギー(注)への転換政策などの結果だ」とした上で、黒海封鎖に関しては「ロシアはトルコの支援を得て、ボスポラス海峡、地中海、さらには消費地まで、輸送船の安全な航路を確保する用意がある」と反論した(ロシア外務省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。シンガポールのビビアン・バラクリシュナン外相は、シンガポールは食料を輸入に依存していると自国の事情を訴えた上で、「食料危機は既に何年も前から始まっており、言い訳をやめ、食料を供給するべきだ」と発言した(「チャンネル・ニュース・アジア」7月8日)。

難しいかじ取り求められる議長国インドネシア

インドネシアは2022年のG20議長国として、ロシアとウクライナ両国の仲介役を担おうとしている。6月末には、ジョコ・ウィドド大統領が両国首脳と面談を行い、直近のウクライナ情勢の平和的解決を訴えた(2022年7月4日記事7月11日記事参照)。インドネシアのレトノ・マルスディ外相は現地紙のインタビューに対し「各国は最初から立場が違うことを知っていたが、話し合いの機会を持つことが最も重要だ」として、今回の外相会合の重要性を訴えた(「ジャカルタ・グローブ」7月9日)。インドネシアの外交姿勢について問われたロシアのラブロフ外相は「国際法に基づいた対話を構築することの重要性を理解する、責任ある立場にある」とコメントした(ロシア外務省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(注)太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどから作られるエネルギー

(上野渉)

(世界、インドネシア、米国、ロシア、ウクライナ)

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