G20財務相・中央銀行総裁会議、課税ルール支持

(世界)

国際経済課

2021年10月14日

G20財務相・中央銀行総裁会議が10月13日、米国ワシントンで開催された。会議後に発出された声明〔英語PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)日本語(仮訳)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕は、10月8日に OECD/G20による「税源浸食と利益移転(BEPS) 包摂的枠組み」が公表した「経済のデジタル化に伴う課税上の課題に対応する2つの柱の解決策に関する声明」と「詳細な実施計画」で示された最終的な政治的合意を支持。「この合意により、より安定的で公正な課税制度が確立する」と評価した。

BEPSは、多国籍企業が当該企業の活動実態と各国・地域の税制や国際課税ルールとのずれを利用し、低課税の国・地域に所得を移転することで各国・地域の税源が侵食されることなどを指す。OECDでは、G20の要請によりBEPSに対処していく対応策について議論を推進していた。

OECDは10月8日、第1の柱(IT企業を含む巨大多国籍企業への課税権)と第2の柱(世界共通の最低法人税率)に関する新制度を取りまとめ、136カ国・地域PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注)が合意したことを発表した〔プレスリリース(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕。7月には130カ国・地域による大枠合意が発表されていた〔プレスリリース(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕。10月の発表までにアイルランドなどが加わった(2021年10月12日記事参照)。

第1の柱では、多国籍企業(全世界の売上高が200億ユ-ロ超、かつ税引き前利益率が10%超)の収入の10%を超える利益として定義される残余利益の一定割合をネクサス(課税の根拠となる結びつき)のある国・地域に配分することが盛り込まれている。10月8日の声明では、第1の柱で、ネクサスのある国・地域へ配分されることになる残余利益の割合を25%とした。7月では20~30%としていた。

また、第2の柱では、最低法人税率の導入を通じて、国際的な法人税率の引き下げ競争に歯止めをかけ、課税ベースの確保が図られている。10月8日の声明では、最低法人税率を15%とした。7月では「少なくとも15%(at least 15%)」とされていたが、「少なくとも(at least)」の表現が外れた。

国際課税に関する新たなルールは、2022年中の多国間条約の締結手続きを経て、2023年の発効を目指している。

(注)BEPS包摂的枠組み加盟140カ国・地域のうちケニア、ナイジェリア、パキスタン、スリランカの4カ国は未参加。

(朝倉啓介)

(世界)

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