機械関連企業、約9割が供給網逼迫に直面

(ドイツ、ウクライナ、ロシア)

ミュンヘン発

2022年07月06日

ドイツ機械工業連盟(VDMA)は6月27日、サプライチェーンの逼迫に関する緊急アンケート結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。本アンケートは、6月21~23日に国内の機械関連企業520社に対して実施した。

サプライチェーンの逼迫に関する設問への回答企業519社のうち、87%が「大いに逼迫」または「中程度の逼迫」があるとした。3月のアンケートでは74%(2022年3月15日記事参照)、4月のアンケートでは79%だったため、サプライチェーン逼迫に直面する企業の割合は今回さらに増加した。逼迫している部材としては、「電子・電気部品」がこの設問の回答企業503社のうち87%が逼迫状況にある(注)とし、最も逼迫している原材料となった。「鉄鋼・鉄鋼製品」は回答企業514社のうち63%、「プラスチック・ゴム」は回答企業499社のうち42%が逼迫状況にあるとした。VDMAは、企業がサプライチェーンに影響を受けている理由として、(1)ロシアによるウクライナ軍事侵攻、(2)新型コロナウイルス感染拡大を受けた中国での都市封鎖管理措置、(3)主要荷卸港におけるコンテナ作業の長期化(2022年6月22日記事参照)、(4)物流と生産部門における人材不足、を挙げた。

VDMAによると、今後の見通しについて、今後3カ月以内に状況改善を見込む企業はほとんどないという。電子部品は特に逼迫が厳しく、44%の回答企業は2023年下期まで改善を見込めないとしている。供給網の逼迫が続く中、回答企業の約半数は、主要原材料・部品の調達戦略を変更、または、変更を予定している。調達戦略の変更では、調達部品の確保に重点を置いており、回答企業の83%が「調達先の多様化」、77%が「在庫積み増し」、58%が「代替材料・部品の検討」を行っているという。

VDMAによると、天然ガスの供給量減少の可能性(2022年7月4日記事参照)について、約3割の回答企業が対応を進めている。対応を進める企業のうち約75%がバックアップシステムの導入など自社内での具体策を検討、約半数は自社に電力を供給する電力会社と対策を検討しているという。また、回答企業の約3分の1はガス供給減少のレベルに応じた緊急対応策をサプライヤーと準備したとしている。

(注)「甚大な逼迫」または「中程度の逼迫」にあるとした割合。

(高塚一)

(ドイツ、ウクライナ、ロシア)

ビジネス短信 3ef2b99361849490