ウクライナ情勢、ドイツ機械関連企業の約8割に間接的影響

(ドイツ、ウクライナ、ロシア)

ミュンヘン発

2022年03月15日

ドイツ機械工業連盟(VDMA)は3月11日、ウクライナ情勢がビジネスに与える影響とサプライチェーンの逼迫に関する緊急アンケート結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本アンケートは3月2~3日に実施し、国内機械関連企業547社が回答した。

ウクライナ情勢について、この設問への回答企業542社中、ビジネスに間接的に「甚大な影響がある」とした企業は23%、「かなり影響がある」とした企業は55%だった。間接的な影響とは、エネルギー価格の高騰、顧客の不安度の高まり、ロシア通貨ルーブル安などを指す。一方で、ビジネスに直接的に「甚大な影響がある」とした企業は14%、「かなり影響がある」とした企業は31%にとどまった。直接的な影響とは、経済制裁、プロジェクトの延期、ロシア・ウクライナにおける売り上げ減などを指す。

2021年9月(2021年9月24日記事参照)、2021年12月(2021年12月21日記事参照)にも実施した、サプライチェーンの逼迫に関する問いに対しては、この設問への回答企業544社のうち、74%が供給網に影響を受けていると回答。前回12月の調査(84%)に比べて10ポイント減少した。VDMAは、アンケート結果にはまだウクライナ情勢の最新状況が反映されていない可能性もあるとした。

原材料別の逼迫状況に関する質問では、「電子・電気部品」は、この設問の回答企業534社のうち80%が逼迫状況にあるとし、最も逼迫している原材料となった。他方、「化学製品」は、回答企業497社のうち逼迫状況にあるとしたのは9%にとどまった。今後の見通しについて、約3分の2の回答企業は、「電子・電気部品」が2023年以降にならないと状況が改善しないとみている。VDMAによると、約75%の回答企業が調達の見直しに取り組んでおり、具体的には、(1)調達先の拡大(地理的分散を含む)、(2)調達方針の変更、(3)在庫積み増しなどを進めている。

2022年の生産高予測を引き下げ

VDMAは今回、アンケート結果の発表に合わせ、2022年のドイツ国内の機械・設備生産高の実質伸び率の予測を7%から4%に引き下げた。引き下げの理由として、(1)2021年第4四半期の伸びが低かったことで2022年の伸び率の「ゲタ」が低くなったこと、(2)ウクライナ情勢の直接的影響、(3)国内機械関連企業とその顧客の不安感の高まりを挙げた。受注額自体は高い水準にあるものの、以上の理由から予測を引き下げるに至ったという。

VDMAによると、2021年のドイツ国内の機械・設備生産高は前年比6.4%増。2021年の機械・設備の輸出額は8.0%増の1,794億ユーロで、ロシア向け輸出額は全体の3.0%を占めた。

(高塚一)

(ドイツ、ウクライナ、ロシア)

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