米GDP成長率、第2四半期は前期比マイナス0.9%、2期連続のマイナス

(米国)

ニューヨーク発

2022年07月29日

米国商務省が728日に発表した2022年第2四半期(46月)の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率マイナス0.9%となった(添付資料図参照)。市場予想のプラス0.3%を大きく下回り、前期のマイナス1.6%に続いて2期連続のマイナス成長となった。

需要項目別に寄与度でみると、最も成長を押し下げたのは在庫投資のマイナス2.0ポイントで、アマゾンやターゲットなどの小売り大手をはじめ、供給網混乱を背景とする在庫積み増しを調整する企業が増加したことなどが影響した(添付資料表参照)。住宅投資はマイナス0.7ポイントで、連邦準備制度理事会(FRB)の急激な利上げの影響によって住宅ローン金利も上昇している点などが顕在化している。政府支出・投資はマイナス0.3ポイントで3期連続のマイナスとなり、新型コロナウイルス対策支出の減少が続いていることが前期までに続いて影響した。個人消費は0.7ポイントで押し上げに寄与したが、その内訳をみると、サービス消費が1.8ポイントとなった一方、財の消費はマイナス1.1ポイントで、特に食料品やガソリンなどの非耐久財はマイナス0.9ポイントと、高インフレの影響によって人々が日常品の購入を抑制している可能性がある。純輸出は1.4ポイントで、輸出が1.9ポイントとなった一方、輸入はマイナス0.5ポイントだった。

米国では、景気判断について民間非営利機関の全米経済研究所(NBER)が各種指標から事後的に判断しており、2期連続のマイナス成長は簡便かつ即時的に「テクニカル・リセッション」と一般に見なされる(2022年7月25日付地域・分析レポート参照)。一方で、直近では雇用市場などは底堅い動きがみられることなどから、727日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、ジェローム・パウエルFRB議長は「米国経済は現時点で景気後退には入っていないと思われる」と述べている(2022年7月28日記事参照)。経済減速の兆しが表れているのは確かながらも、6月の消費者物価は40年半ぶりの伸びを記録するなど(2022年7月14日記事参照)、経済が減速しても高いインフレ率は鈍化がみられず、物価上昇率が高止まりする中で経済が減速するスタグフレーションの懸念がますます高まっている。FRBはあくまで高インフレ抑制を優先する姿勢をこれまで示しているが、物価高の一因のガソリン価格はここにきて低下するなど(2022年7月28日記事参照)、品目によっては低下しているものもあることから、消費者物価など7月の物価関連の指標が軟化を見せるか、注目が集まる。

(宮野慶太)

(米国)

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