6月の米消費者物価、前年同月比9.1%上昇で40年半ぶりの9%台、コア指数は5.9%に鈍化

(米国)

ニューヨーク発

2022年07月14日

米国労働省が7月13日に発表した2022年6月の消費者物価指数(CPIPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、前年同月比9.1%上昇となり、198111月の9.6%以来の9%台を記録した。一方、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は5.9%上昇で、3カ月連続で減速した(添付資料図参照)。民間予想はそれぞれ8.8%、5.7%だった。前月比では、CPI1.3%上昇、コア指数は0.7%上昇だった(民間予想はそれぞれ1.1%、0.5%)。

品目別に前年同月比でみると、食料品が10.4%上昇(前月:10.1%上昇)と2カ月連続の2桁台の伸びで、特に家庭用食品が12.2%上昇(11.9%上昇)と伸びが高い。ガソリンは59.9%上昇(48.7%上昇)と伸びが加速し、前月比でも11.2%上昇と、前月の4.1%から大きく上昇している。財は前年同月比7.2%上昇と伸びが鈍化した。うち中古車については7.1%上昇と前月の16.1%から大きく鈍化し、新車も11.4%上昇と前月の12.6%から鈍化している。他方、サービスは5.5%上昇と伸びが加速しており、物価全体の3割程度のウエートを占める住居費が5.6%(前月:5.5%上昇)と引き続き伸びが加速している。最近高騰している航空運賃は34.1%上昇で、引き続き高いものの前月の37.8%からは鈍化しており、前月比では1.8%低下している(添付資料表参照)。

78日に発表された雇用統計(2022年7月11日記事参照)に続いて、6月のCPIも市場予想より強い内容が示され、あらためて需給逼迫が示されたかたちだ。米国連邦準備制度理事会(FRB)は、72627日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ポイントもしくは0.75ポイントの政策金利引き上げを行うことを明言しているが(2022年6月16日記事参照)、今回のCPIを受けて1ポイントの利上げを行うのではないかという予想も市場では取り沙汰されている。他方、直近の原油価格は、世界的な金融引き締めが景気後退(リセッション)を招くという懸念から、急激に下落し始めており、全米のガソリン平均小売価格は1ガロン(約3.8リットル)4.63ドルと、一時期の5ドル超の水準から低下してきている。715日には6月の小売売上高が公表される。5月は前月比0.3%減となったが(2022年6月16日記事参照)、金利上昇など金融引き締めは小売りにも影響を与え始めているとみられる。6月も5月に引き続き減少となった場合、リセッション懸念がさらに強まるとされるだけに、インフレを抑えるための金融引き締めとそれによるリセッション懸念の双方にどう対処していくか、次回FOMCの判断に注目が集まる。

(宮野慶太)

(米国)

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