インドネシアのジョコ大統領がウクライナ訪問、平和的解決を訴え

(インドネシア、ウクライナ)

ジャカルタ発

2022年07月04日

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は6月26日から、G7出席のためのドイツ訪問を皮切りに、ウクライナ、ロシア、アラブ首長国連邦(UAE)を歴訪している(インドネシア内閣官房外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。29日にはウクライナのキーウ(キエフ)にあるマリア宮殿で、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した(インドネシア国家官房外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ゼレンスキー大統領によると、アジアから首脳が訪問するのは、ロシアによるウクライナ侵攻が開始して以降、今回のジョコ大統領が初めてとなる。

ジョコ大統領は今回の訪問について、ウクライナの状況に対するインドネシアの懸念の表れだとし、主権と領土保全の尊重を重要視しているとの立場を強調した。その上で、達成は非常に困難だが、平和的解決のため、平和の精神を失ってはならないとした。ウクライナに対する支援については、キーウ周辺の病院再建に取り組むことを表明した。11月にバリで開催するG20サミットにゼレンスキー大統領を招待することもあらためて表明した。また、世界の食品サプライチェーンにとってウクライナが重要と強調し、ウクライナからの食糧輸出が再開できるようあらゆる努力を払わなければならないとした。ウクライナの食品を海港経由も含めて円滑に輸出するため、安全保障を提供することの重要性も説き、「国連の努力を支持する」と述べた。

ゼレンスキー大統領はジョコ大統領の訪問に謝意を示し、ウクライナの再建・復興のためインドネシア企業を誘致したいとの意向を示した。

短期滞在ビザ要件を撤廃する協定に署名

インドネシアのルトノ・マルスディ外相とウクライナのドミトロ・クレバ外相は6月29日、両国国民間の短期滞在ビザの要件を撤廃する協定に署名した(「コンパス」6月30日)。ウクライナ政府によると、ウクライナからインドネシアへは2016年からトランジット・観光・家族訪問などの目的であれば、最大30日までビザなしで入国が可能だ(ウクライナ外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。他方、インドネシアからウクライナへの入国には、外交パスポート所有者などを除き、原則として電子ビザの取得が必要だ。今回の協定によって、全ての両国民が互いの国にビザなしで入国・滞在できることに相互に合意した。

(尾崎航)

(インドネシア、ウクライナ)

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