韓国LG、中部ジャワにEV用バッテリー工場設立を発表

(インドネシア、韓国、中国)

ジャカルタ発

2022年06月20日

韓国のバッテリー大手LGエナジーソリューション(LG化学の子会社)は、インドネシア中部ジャワ州のバタン工業団地に、電気自動車(EV)用のバッテリー工場を建設する。ジョコ・ウィドド大統領が6月8日、同工業団地への訪問の際に発表した(インドネシア大統領府ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。投資額は約98億ドルとなる予定だ。

韓国の大手化学メーカーのLG化学やLGソリューションなどは、国営企業インドネシア・バッテリー・コーポレーション(IBC、注1)などと共同で、インドネシアにおけるEV用バッテリー産業開発のための「グランド・パッケージ・プロジェクト」を推進しており、本件は同プロジェクトの一環となる。「グランド・パッケージ・プロジェクト」は、EV向けバッテリーのサプライチェーンの上流から下流をカバーするもので、ニッケルの発掘や製錬、バッテリーのリサイクル事業などが含まれる。プロジェクト全体はEV年間350万台、10ギガワット時(GWh)規模となる予定だ(「デティック」6月12日)。プロジェクトの第1フェーズは、2021年9月にジャカルタ近郊におけるリチウムイオン電池(NCMA電池)セル生産工場の建設となる(2021年8月4日記事参照)。バタン工業団地におけるバッテリー工場設立は、同プロジェクトの第2フェーズに位置づけられており、ニッケルの製錬やEV用バッテリーのリサイクル設備なども設置される予定だ。

同サプライチェーン上流では、中国企業の動きもある。ステンレス鋼メーカーの青山鋼鉄や、車載用リチウムイオン電池メーカーであるCATLの関係会社などは、合弁でQMB New Energy Materialsを2019年1月に設立し、EV用バッテリーに欠かせない高純度のニッケルなどを製造している(2022年3月25日付地域・分析レポート)。また、ブラジルの資源大手ヴァーレのインドネシア法人であるヴァーレ・インドネシアは2022年4月28日、中国のコバルト製品メーカーの浙江華友コバルトと、高圧硫酸浸出(HPAL、注2)と呼ばれるニッケル製錬プラントの建設で基本契約を結んだ(ヴァーレプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(注1)2021年3月、EVバッテリーのサプライチェーン構築などを目指し、国営企業のMIND.ID、アネカ・タンバン、プルタミナ、PLNが共同出資して設立した持ち株会社。

(注2)従来は製錬の対象とならない低品位の鉱石から、ニッケルを回収できるプロセス。

(上野渉)

(インドネシア、韓国、中国)

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