現代自動車がインドネシアでEV向け電池セル生産へ

(インドネシア、韓国)

ジャカルタ発

2021年08月04日

韓国の現代自動車は7月29日、プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、LGエナジーソリューション(LG化学の子会社)と共同で、電気自動車(EV)向けニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム酸リチウム正極(NCMA正極)を採用したリチウムイオン電池(NCMA電池)セル生産工場を、インドネシアの首都ジャカルタ近郊に建設することを発表した。投資金額は両者の折半で合計11億ドル。2024年から、年間10ギガワット時(GWh)(EV15万台相当)の電池セルを生産する見込みだ。

現代自動車とLGエナジーソリューションは7月28日にオンライン上で、バフリル・ラハダリア投資相および国営企業インドネシア・バッテリー・コーポレーション(IBC)のトト・ヌグロホ社長と共に、同工場建設に向けた覚書(MOU)の締結を行った。工場は2021年第4四半期(10~12月)に建設を開始し、2023年前半に建設完了の予定。電池セルの量産開始は2024年前半を見込む。工場建設予定地の西ジャワ州カラワン県は、首都ジャカルタから東に約70キロにあり、高速道路などの交通インフラも整っていることから、日系の製造業も多く進出している。生産される電池セルは、現代自動車および起亜自動車のEVプラットフォームであるE-GMP(注)で利用される予定だ。

EV価格の押し下げ効果を期待

地元紙の報道によると、インドネシアにおける2021年1~6月の電動車販売台数は1,900台で、内訳はハイブリッド車(HV)が1,378台、プラグインハイブリッド車(PHV)が34台、EVが488台となっている(「コンタン」紙7月29日)。ガソリン車を含む市場全体(約39万台)で電動車のシェアは0.48%にとどまる。インドネシア自動車製造業協会(ガイキンド)のヨンキー・スギアルト副会長は「インドネシアにおいてEV向け電池生産が可能になることで、EVがより手に入りやすい価格になる」とコメントし、今回の投資決定を歓迎する意向を示した。

(注)2020年12月に現代自動車が発表したEV向けの車台。2021年から同社が展開するEV「IONIQ 5」や、起亜自動車が開発中のEVに使われる予定。

(上野渉)

(インドネシア、韓国)

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