米石油精製大手フィリップス66、米フリーワイヤ・テクノロジーズと提携、EV充電インフラ整備に向け

(米国、日本)

ヒューストン発

2022年06月08日

米国石油精製大手フィリップス66(本社:テキサス州ヒューストン)は6月1日、同社が米国内で展開する約7,000カ所のガソリンスタンドなどへの電気自動車(EV)用急速充電器の導入に向け、EV充電器を手掛ける米国スタートアップのフリーワイヤ・テクノロジーズ(カリフォルニア州サンレアンドロ、以下フリーワイヤ)と同意書を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

一般に急速充電器の設置には、電力インフラを低圧受電契約から高圧受電契約に変更する必要があるが、フリーワイヤの製造する蓄電池統合型急速充電器は、蓄電池を内蔵し、既存の低圧受電契約のままでの急速充電の提供が可能。許認可の制約を受けずに設置までのリードタイムを短縮し、設置・運用コストを比較的安価に抑えられることを特徴としている。

フィリップス66は「フィリップス66」「76」「コノコ」のブランドで、国内約7,000カ所のガソリンスタンドを展開しており、両社はこれらフィリップス66のガソリンスタンドやその他の戦略的な場所にフリーワイヤの急速充電器を導入する機会を探り、EV充電インフラを整備する計画だ。

フィリップス66のグローバルマーケティング担当バイス・プレジデントであるパム・マクギニス氏は、「米国においてEVの普及が進む中、フリーワイヤと協力して、消費者の期待に応えられるよう、高速かつ、外出先でも充電できるインフラを提供していく」と今後の展望を示した。併せて、同社は今回の発表が、同社の低炭素社会の実現に向けた取り組みを象徴するものだとしている。また、フリーワイヤのアルカディ・ソシノフ創業者兼最高経営責任者(CEO)は「今回の発表は、燃料供給の分野で今後行われる多くのエキサイティングな発表の口火を切るもの」「フィリップス66がEV用電力供給に向けて重要な一歩を踏み出すにあたり、当社の技術と実行力を信頼してくれたことに、大変感謝している」と述べた。

なお、フリーワイヤは2022年4月14日、日本のEV関連機器や再生可能エネルギー関連事業を手掛けるベルエナジー(茨城県つくば市)と提携し、茨城県つくば市内に同社の蓄電池統合型急速充電器を設置したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

モビリティ部門での脱炭素化に向けた最近の動きとして、2022年4月28日に、北米で廃棄物の収集などを手掛ける米ウェイスト・マネジメント(WM、本社:テキサス州ヒューストン)は、再生可能天然ガスのインフラを拡充する計画を発表した。WMは酪農事業を通じて発生するメタンガスを回収して自社の車両に充填したり、複数の拠点でゼロエミッションとなる電動トラックを試験的に導入したりして、技術の商用化を促進するなど、再エネ利用の拡大に向けた他社の取り組みを継続的に支援している(2022年5月6日記事参照)。また、2022年4月28日には、カーボンリサイクル燃料(e-fuel)を開発・製造するチリのHIFグローバルは、北米初となる同燃料の産業向け生産拠点の立地先として、米国テキサス州のマタゴルダ郡を選定したことを発表した。同社が生産を予定している代替燃料は、既存のエンジンやインフラに手を加えることなく、自動車に使用することが可能だ(2022年5月2日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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