日本酒の通関問題解消、輸入再開へ

(インド、日本)

ニューデリー発

2022年06月17日

在インド日本大使館とインド政府当局の交渉の結果、インドで日本酒の輸入が2020年1月以降停止していた問題が6月に暫定的に解消された。今後、日本から輸出者が必要書類を添付することで、輸出が可能となる。

これまでの経緯として、インド食品安全基準局(FSSAI)は2020年の制度変更で、インドの食品規格に当てはまらない食品〔規格外食品(proprietary food)〕の輸入に当たり、ISO17025に準拠した分析証明書の添付を義務付けた。日本酒は規格外食品に該当するため、この分析証明書が必要となる。ただし、FSSAIが求める分析条件下で、ISO17025に準拠しつつ、日本酒の証明書発行に対応できる機関が日本国内に存在しないことが原因で、要件を満たす分析証明書が発行できない状況となっていた。このため、インドで日本酒の輸入通関が停止する事例が発生しており、これまで大使館が窓口となってFSSAIと交渉を行ってきた(2022年4月26日付地域・分析レポート参照)。

今回、解決策として、国税庁が2015年に指定した地理的表示(GI)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)「日本酒」をインド国内でも登録することにより、規格外食品の規制の対象外とする内容で合意した。インドでのGI登録は大使館が現在申請中だ。FSSAIは、GI登録手続き期間中の暫定的な措置として、輸出入業者が通関時に以下の書類を添えることで、日本酒の輸入を可能とすることを承認した。

【必要書類】

(1)大使館からのFSSAIへの要望レター〔添付資料(1)〕

(2)平成27年12月25日国税庁公告「酒類の地理的表示として日本酒を指定する件」の大使館仮英訳文〔添付資料(2)〕

(3)当該の日本酒に関する分析証明書(ISO17025は不要、酒類製造業者が自社書式で発行可、アルコール含有割合の記載が必須)

詳細については、2022年6月14日付大使館発信の暫定措置発動周知文〔添付資料(3)和文と(4)英訳〕を参照。

(酒井惇史)

(インド、日本)

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