東北地域で水素燃料エンジンの開発進む

(中国)

大連発

2022年06月22日

中国・吉林省長春市政府は6月8日、一汽解放汽車(注1)が独自開発した大型商用車用水素燃料エンジンが、国内で初めて安定燃焼に成功したと発表した。同水素燃料エンジンは出力500馬力超の排気量13リットルの大型エンジンで、55%以上の熱効率を有しており、今回の安定燃焼成功により、中国の水素燃料エンジンの自主研究開発におけるブレークスルー達成案件となった。

また、遼寧省瀋陽市に所在する瀋陽航天三菱汽車発動機製造(以下、瀋陽航天三菱) と国創水素科技(注2)が共同開発した燃料電池エンジンが、性能試験、定格出力試験、高低温試験を完了し、5月30日に国家自動車製品品質検査試験センターの検査に合格し認証を取得した。当該エンジンは、定格出力60キロワット(kW)、設計寿命1万時間以上、マイナス35度での低温起動が可能など、主要性能は中国トップレベルで、フォークリフト、トラック、バスなどに幅広く応用できる(「北極星水素エネルギー網」6月15日)。

水素燃料電池車用エンジン開発が進んできた背景には、国務院が2020年11月に発表した「新エネ車産業発展計画(2021~2035年)」がある。2035年までの燃料電池車の実用化推進など、温室効果ガスの排出削減や社会的な効率化を目指す長期ビジョンを示している(2021年3月1日記事参照)。また、国家発展改革委員会が2022年3月に公表した「水素エネルギー産業発展中長期規画(2021~2035年)」(2022年3月29日記事参照)では、水素がカーボンニュートラル実現に向けた重要手段として位置付けられている。

(注1)一汽解放汽車は、中国第一汽車集団(吉林省長春市)傘下の商用車部門。

(注2)瀋陽航天三菱は1997年8月に、中国航天汽車工業総公司や三菱自動車工業など3カ国計5社の出資で遼寧省瀋陽市に設立されたエンジン製造メーカー。国創水素科技は2021年11月に、遼寧省大連市自由貿易試験区内の水素エネルギー産業パークに設立した燃料電池研究開発企業(2021年12月7日記事参照)。

(李莉)

(中国)

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