大連市自由貿易区・水素産業パークでのプロジェクトが相次いで始動

(中国)

大連発

2021年12月07日

大連市自由貿易試験区(以下、自由貿易区)は11月21日、中国航天科技集団傘下のファンドと中国科学院大連化学物理研究所(以下、大連化物所)の共同出資により、自由貿易区内の水素エネルギー産業パークに燃料電池の研究開発・テスト・生産拠点を新たに建設すると発表した。当該プロジェクト実施企業「国創氢能科技」の登録資本は2億元(約36億円、1元=約18円)。既に拠点建設準備を進めており、2022年内の稼働を目指している。

同社では、中国科学院の基礎研究や中国航天科技集団のシステムエンジニアリング面の優位性を生かし、小型、高効率、長寿命、低コストでかつより幅広い分野で使用可能な燃料電池製品を開発し、コアとなる材料や部品の国産化・ロット生産の全面的な実現を念頭に置いている。開発された製品は、自動車や移動式・定置式の発電設備への大規模な応用を見込んでいる。

同社の水素エネルギー産業パークへの進出を通じ、大連の水素エネルギー産業分野でのクラスターの形成や、関連技術・資金・人材などの資源の集積も期待されている。

大連市、水素エネルギー産業発展に向けた取り組みを推進

大連市では、2020年に発表された「大連市水素エネルギー産業発展計画」に基づき、水素エネルギー産業の育成に積極的に取り組んでいる。また、自由貿易区では、大連市政府の計画に合わせ、「大連自由貿易区水素燃料電池車および関連産業発展計画」を策定している。2021年から2025年にかけて、自由貿易区内に3~5カ所の水素ステーションを建設し、燃料電池バスや運搬車両などの現場実証実験や社会実装を進める予定だ。

民間ベースでも、水素エネルギー産業のクラスター化が加速している。中国石油化工集団(シノペック)は2021年7月、自由貿易区内で水素充填(じゅうてん)、給油、充電、液化天然ガス(LNG)充填などを合わせた総合ステーションの正式運用を開始した。8月には、商用燃料電池車のトラクションモーターを手掛ける大連創維電機が、水素燃料物流車・バス・ロードカー用水素燃料電池に使われる高速空気圧縮機などの研究開発・生産拠点が着工した。さらに9月には、リンデ(ドイツ)が大連冰山集団との合弁会社が生産する水素ステーション用圧縮機の製品出荷が開始された。

(李莉)

(中国)

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