2022年インフレ率は前回発表の倍の8.8%に、OECD予測「戦争の代償」

(世界)

国際経済課

2022年06月09日

OECDは6月8日、経済見通し〔プレスリリース(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕を発表した。2022年の世界全体の経済成長率(実質GDP伸び率)を3%と試算し、前回発表(2021年12月)の4.5%から下方修正した(添付資料表参照、2021年12月2日記事参照)。OECD加盟38カ国平均のインフレ率は8.8%と、前回発表から倍近い上昇を予測している。

OECDは「戦争の代償」と題し、ロシアによるウクライナ侵攻の影響拡大を修正理由に挙げた。この侵攻の影響について、OECDは3月に分析を行っている(2022年3月18日記事参照)。同分析で経済成長率は1ポイント超下がるとしたが、今回は修正幅を1.5ポイントとし、見通しをさらに厳しくしている。

2023年の経済成長率は2.8%を見込む。試算には、EUによるロシア産原油・石炭の輸入禁止(2022年6月6日記事参照)の影響を織り込んだ。また、中国政府の新型コロナウイルス対策のゼロコロナ政策による主要都市や港湾の閉鎖管理も、負の影響を引き起こしたと指摘している。

インフレ率については、ロシアやウクライナの輸入依存が大きいエネルギー(石油・ガス)や食糧(小麦やトウモロコシなど)の価格高騰が新興国を中心に打撃を与える。OECDやG20加盟国の2022年のインフレ率は、トルコ(72%)やアルゼンチン(60.1%)、ロシア(16.2%)、リトアニア(15.6%)の順に高い。OECD先進国平均は5.5%となる見通しだ。OECDは、穀物や野菜油(ヒマワリの種を含む)が戦争に伴って供給混乱に陥ったと報告。また、特に中東・アフリカや中央アジアなどの国内生産量が少ない国・地域ほど影響を受けやすいと分析している。

OECDの発表に先立つ6月7日には、世界銀行が経済見通しを発表(2022年6月9日記事参照)し、低中所得国・地域などで景気後退とインフレが同時に進行するスタグフレーションへの懸念を示した。これに関連して、OECDはそうした懸念は残るとしつつも、先進国経済はエネルギー集約的ではなくなっており、中央銀行の独立性や政策の強靭(きょうじん)性が向上するなど、世界的なスタグフレーションに陥ったとされる1970年代のオイル・ショックと現在では異なる点もあると指摘している。

(藪恭兵)

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