世界銀行、景気後退と高インフレの同時進行、長期化を懸念

(世界)

国際経済課

2022年06月09日

世界銀行は6月7日、「世界経済見通し」〔プレスリリース(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕を発表した。2022年と2023年の世界の経済成長率(実質GDP伸び率)の見通しは、それぞれ2.9%、3.0%とした(添付資料表参照)。前回(2022年1月)の見通しと比較すると、2022年は1.2ポイント、2023年は0.2ポイント下方修正した。

2022年の経済成長率は、先進国・地域、新興・途上国・地域ともに、1ポイント前後の下方修正となった。世界銀行はプレスリリースで世界経済について「新型コロナウイルスのパンデミックに加え、ロシアによるウクライナ侵攻が世界経済の減速を強め、脆弱(ぜいじゃく)な成長と高インフレが長期化する恐れがある」とし、特に低中所得国・地域で景気後退とインフレが同時に進行するスタグフレーションへの懸念を示した。

2023年も資源価格高騰や金融引き締めなどの逆風は持続することが見込まれる。そのため、2023年の経済見通しには、2022年の経済活動減速からの反動増は織り込めず、成長率は3.0%にとどまる見通しだ。景気下押しリスクとして、地政学的緊張の激化やスタグフレーションの進行、金融不安の増大、サプライチェーンの混乱長期化、食糧不安の悪化を挙げた。

国・地域別にみると、2022年の米国の経済成長率は、エネルギー価格の高騰、金融引き締め、サプライチェーンの混乱が要因で、前回から1.2ポイント下方修正して2.5%だった。中国は、新型コロナ感染再拡大と厳格なロックダウン政策の影響で、前回から0.8ポイント下方修正して4.3%となった。世界銀行は中国について、主要都市で繰り返される感染拡大とロックダウンは個人消費とサービスの回復を妨げ、サプライチェーンの崩壊と投資家からの信頼低下を引き起こすと指摘している。

世界経済の成長減速の見通しが示されるなか、世界銀行はネガティブな影響を回避するため、世界および各国の政策対応の必要性を協調した。具体的には、ウクライナ紛争による影響の緩和、資源価格高騰による打撃の軽減、債務減免の迅速化、低所得国での新型コロナワクチン接種拡大、各国レベルの供給支援などを挙げた。また、価格管理や輸出禁止など、市場をゆがめる政策は資源価格のさらなる高騰招く可能性があることから、これらの政策を実施しないことを勧告した。

(田中麻理)

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